Home >  ニュース > NAJAFZADEH, Sahand(岡﨑研D2)氏、日本物理学会の学生優秀賞を受賞 

NAJAFZADEH, Sahand(岡﨑研D2)氏、日本物理学会の学生優秀賞を受賞 

岡﨑研究室D2のNAJAFZADEH, Sahand(ナジャフザダ サハンド)氏が日本物理学会(領域6(金属、低温))の学生優秀賞を受賞しました。この賞は当該領域において各分野の発展に寄与する優秀な講演を行った学生に対し、今後の活動を期待し表彰されるものです。

fig1

受賞対象となった発表は"The superconducting proximity effect of Sb2Te3/Nb heterostructure may reveal new micromechanisms of proximity effect in topological insulators"です。

今回ナジャフザダ氏は、岡﨑研究室で開発された極低温超高分解能レーザーARPES装置を用いた、トポロジカル絶縁体の表面状態への超伝導の近接効果(proximity effect)の研究について発表しました。

超伝導の近接効果とは、超伝導体に常伝導体を接合する(くっつける)ことで常伝導体においても超伝導が観測される現象です。トポロジカル絶縁体は、その内部が電気を通さない絶縁体であるのに対して、表面では金属的な状態が現れる特殊な絶縁体です。トポロジカル絶縁体の表面状態を近接効果で超伝導にすることで、トポロジカル超伝導が実現できる可能性が指摘されています。またトポロジカル超伝導体では、マヨラナ粒子という特殊な粒子が存在することも知られています。マヨラナ粒子とは、それ自身が粒子と反粒子の性質を持つ粒子のことで、量子コンピュータへの応用が期待されています。

これまでのトポロジカル絶縁体の表面状態への超伝導近接効果については、表面状態において超伝導が実現する場合としない場合が報告されており、実現のための条件が明らかにされていませんでした。今回のナジャフザダ氏の研究では、表面状態における超伝導の実現には、トポロジカル絶縁体の内部においても金属的であることが重要であることが示唆されました。トポロジカル絶縁体を用いたトポロジカル超伝導やマヨラナ粒子の応用に近づく重要な結果であると考えられます。

関連ページ

(公開日: 2022年05月24日)