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樋口 祐次 助教(野口研)が分子シミュレーション学会学術賞を受賞

野口研究室の樋口 祐次 助教が2021年度の分子シミュレーション学会学術賞を受賞しました。この賞は、分子シミュレーションに関する研究において、その業績が顕著である40歳以下の者に授与されるものです。授与式は11月30日に岡山大学で行われた分子シミュレーション討論会にて行われました。

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受賞対象となった研究は「ソフトマター材料に関する分子シミュレーション」です。

樋口氏は、これまで分子シミュレーションを用いて、高分子、ゲル、両親媒性分子などのソフトマター材料の構造と物性を明らかにしてきました。ソフトマターは分子が集合して初めてその構造や機能を発現することから、分子レベルからメゾスケールまで幅広く理解する必要があります。さらに、系を決定する構成要素が多く存在することから、現象を本質的に理解するためには、どのスケールでどの要素が重要か明確にする必要があります。この問題に対して、量子化学計算・全原子計算・粗視化計算を用いたマルチスケールのモデリングやシミュレーションと、自身でプログラム開発した大規模計算を用いることで、理論モデルが材料などの構造や物性を再現する要因に迫ってきました。

これにより構造作成すら困難なソフトマター実材料を適切にモデリングし、実験結果を再現するとともに、実験では解明が困難な分子論的理解を確立してきました。ソフトマターの実材料の理論的な理解という学理構築の観点から分子シミュレーション分野へ大きく貢献したと言えます。さらに、工学・実学への波及も大きく、ソフトマター材料の分子シミュレーションにおいて最先端の研究を展開していると評価されました。

関連論文

  1. Yuji Higuchi and Momoji Kubo “Deformation and Fracture Processes of a Lamellar Structure in Polyethylene at the Molecular Level by a Coarse-grained Molecular Dynamics Simulation” Macromolecules 50, 3690–3702 (2017).
  2. Yuji Higuchi “Coarse-grained molecular dynamics simulations of void generation and growth processes in the fracture of the lamellar structure of polyethylene” Phys. Rev. E 103, 042502 (2021).
  3. Yuji Higuchi, Keisuke Saito, Takamasa Sakai, Jian Ping Gong, and Momoji Kubo “Fracture Process of Double-Network Gels by Coarse-Grained Molecular Dynamics Simulation” Macromolecules 51, 3075–3087 (2018).
  4. Hiroaki Ito, Yuji Higuchi, and Naofumi Shimokawa “Coarse-grained molecular dynamics simulation of charged lipid membranes: Phase separation and morphological dynamics” Phys. Rev. E 94, 042611 (2016).
  5. Yuji Higuchi, Yuta Asano, Takuya Kuwahara, and Mafumi Hishida “Rotational Dynamics of Water at the Phospholipid Bilayer Depending on the Head Groups Studied by Molecular Dynamics Simulations” Langmuir 37, 5329–5338 (2021).

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(公開日: 2021年12月08日)