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山本 剛史(加藤研D3)氏、日本物理学会学生優秀発表賞を受賞

加藤研究室D3の山本 剛史氏が、第76回年次大会(2021年)日本物理学会学生優秀発表賞(領域4)を受賞しました。この賞は物理学の発展に貢献する優秀な発表(口頭講演)を行った学生に対して授与されるものです。

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受賞対象となった発表は「量子ラビ模型を介した熱輸送に関する理論研究」です。

近年の回路量子電磁気学(circuit-QED)系の急速な発展により、超伝導量子ビットなどの超伝導デバイスを用いた実験やそれらを想定した理論研究が活発に行われています。その中でもcircuit-QED系における熱輸送現象は、量子多体効果などの基礎物理的な側面だけでなく、熱デバイスへの応用の側面からも注目されており、様々な量子熱デバイスが理論的に提案されています。

山本氏らはcircuit-QED系を記述する基本的な模型の1つである量子ラビ模型に着目し、その模型に流れる熱輸送特性を理論的に調べました。量子ラビ模型は、二準位系に調和振動子が結合した典型的な多準位系であり、よく知られている二準位系とは異なる熱輸送特性を持つことが期待されていました。山本氏らは熱の流れやすさの指標である熱コンダクタンスの温度依存性を調べることで、強結合領域と呼ばれる二準位系と調和振動子の結合が強い領域において、熱コンダクタンスの温度依存性に2つのピークがあわられることを発見し、この特徴的なふるまいは二準位系では現れない多準位系に特有なものであることを明らかにしました。また、強結合領域での熱コンダクタンスは二準位系の周波数などの制御パラメータに対して敏感に変化することも分かりました。これらの熱輸送特性は熱トランジスタへの応用に有用であることが期待されます。

関連論文

  • Tsuyoshi Yamamoto and Takeo Kato, arXiv:2011.06815

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(公開日: 2021年05月20日)