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佐藤優大(長谷川研D2)氏、物理学会学生優秀発表賞を受賞

長谷川研D2の佐藤優大氏が日本物理学会学生優秀発表賞を受賞しました。この賞は日本物理学会学術講演会において優秀な講演を行った学生に授与されるものです。佐藤氏は、2020年9月に行われた日本物理学会秋季大会にて、以下研究内容の講演を領域6及び領域9で行い、両領域での学生優秀発表を受賞しました。

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受賞対象となった講演タイトルはは「単原子層超伝導体におけるステップ誘起臨界磁場増大効果に関する研究」です。

低温で電気抵抗がゼロになる超伝導現象は、外部磁場によってその超伝導性が容易に破壊されてしまいます。従って、どのように外部磁場に強い超伝導体を作るかは非常に大きな課題の一つです。この課題を乗り越えるため、佐藤氏らは単原子層まで薄くした超伝導体に着目しました。単原子層レベルまで薄くした超伝導体は面内に印加された磁場に対して強いことは以前から知られていましたが、佐藤氏らは、非常に幅狭な間隔でステップを持つ微傾斜基板上に単原子層超伝導体を形成させることで、面直方向に印加された磁場に対しても強い超伝導体を作製できることを見出しました。まず、佐藤氏らは表面電気伝導測定を用いて、微傾斜基板上に形成された鉛単原子層薄膜は平坦面上に形成された薄膜に比べて大きいことを示しました。さらに、極低温走査トンネル顕微鏡測定において、画像化された超伝導渦糸がステップ垂直方向に縮んでいることを見出し、超伝導特性を特徴づけるコヒーレンス長さのステップ垂直方向成分が抑制されていることが、面直磁場で超伝導が壊れにくくなった原因であることを示しました。本研究を通して、薄膜面内及び面直の全方向の磁場に対して超伝導特性が壊れにくい超伝導体の作製につながると期待されます。

発表論文

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(公開日: 2021年05月10日)