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大谷研究室

助教 一色 弘成

研究テーマ

  • 磁気弾性強結合による高効率スピン流の生成
  • 重元素を含まない界面での軌道流の生成
  • 非共線反強磁性体における電流駆動高速磁壁移動
  • 原子間力顕微鏡を用いた局所的熱流注入による異常ネルンスト効果マッピング

20世紀の終わりに誕生したスピントロニクスは、電流に加え、スピン角運動量の流れであるスピン流を用いることで、これまでにない機能を持った素子を創出する学問領域である。スピントロニクスは、電荷・スピン・フォノン・フォトン・マグノン等の準粒子が、固体中のスピンを媒介として相互に変換される「スピン変換科学」として発展した。ごく最近では、スピン変換科学は、準粒子が強固に結合しマグノンポーラロンなどの新奇準粒子状態を生成する、「強結合スピントロニクス」として展開している。さらに最近では、電子スピンだけではなく電子軌道により角運動量を運ぶ軌道流が登場した。これらのスピンや軌道を媒介とする変換・結合現象は、比較的単純な接合界面近傍のナノスケール領域で生じることが多く、優れた汎用性と応用性を持っている。我々の研究室では、微細加工で作製したナノデバイスを使った実験により、スピンや軌道を媒介して生じる新奇な準粒子間の変換・結合現象の開拓を行っている。また、基礎量子物性の観点から、発見した新現象の機構解明にも取り組んでいる。

原子間力顕微鏡の探針誘起局所温度勾配を用いた異常ネルンスト効果のマッピング。 (a)手法の概略図。(b)素子のトポグラフィー像。 (c)外部磁場印加中の異常ネルンスト電圧のマッピング像。
非共線反強磁性体Mn3Geの高速磁壁移動の実証。 (a) Mn3Geの磁気八極子。(b)試料のSEM像。 (c)磁気カー効果により観察されたパルス電流による磁壁の高速移動。

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