ISSP - The institute for Solid State Physics

Organization
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大谷研究室
教授
大谷 義近
助教
一色 弘成
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20世紀末にスピン角運動量の流れであるスピン流という概念が登場して以来、原子スケールでの角運動量保存則に起因するスピン移行トルクなど新たなスピントロニクスの学理が発展してきた。その後の10年の間にスピン流の生成・搬送・検出が確立され、スピントロニクス研究は新たな局面を迎えている。最近では、電子・スピン・フォノン・フォトン・マグノン等の準粒子が、固体中のスピン流を媒介として、相互に変換されることがわかってきた。これらの『スピン変換』は、異種物質の接合界面近傍のナノスケール領域で生じるため、極めて優れた汎用性と応用性を持っている。我々の研究室では基礎物理研究の視点から、新しいスピン変換機構の開拓とそれによる新物性開拓に取り組んでいる。また、微細加工技術を駆使して、スピン変換を自在に制御するスピントロニクス素子の研究開発を行っている。

スピンホール効果の電流-スピン流変換効率と電気抵抗率の関係性の解明。(a)スピン吸収法の概略図。左側のパーマロイ(Py)と銅(Cu)の端子間に電流を流すことにより発生した純スピン流がスピン搬送経路(Cu)を右側に向かって拡散伝導する。純スピン流は、右側のスピンホール物質(Pt)に吸収され、逆スピンホール効果によって電流に変換される。(b)白金の逆スピンホール抵抗(RISHE = V/I)の磁場依存性。(c)Ptのスピンホール角(スピン流-電流変換効率)θSHの伝導率依存性。PtのθSHとして様々な値が報告されおり、統一的な見解が得られていなかった。本研究では、θSHはPtの膜質による伝導率に依存し、それが外因性・内因性の機構によって説明できることを明らかにした。
逆ラシュバ-エデルシュタイン効果によるスピン流-電流変換。(a)ラシュバ効果を示す界面にスピン流を注入すると、生じた非平衡スピン蓄積がフェルミ面のシフトを引き起こし、スピン偏極方向と垂直に電流が生じる。(b)Cu/Bi2O3界面でのスピン流-電流変換実験の概略図。(c)スピンポンピングによるスピン流注入で生じた逆ラシュバ-エデルシュタイン電圧の磁場依存性。

研究テーマ

  1. 純スピン流の生成および検出機構
  2. スピン流を用いた磁気相転移
  3. トポロジカル絶縁体界面でのスピン流-電流相互変換
  4. 有機導体へのスピン注入
  5. 強磁性から超伝導体複合素子へのスピン注入