山下研究室

助教 武田 晃

研究テーマ

  • 超低温における強相関電子系の研究
  • 絶縁体における非荷電励起の熱ホール効果
  • NMRを用いた多極子秩序の研究

温度の下限である絶対零度では全ての物質は凍りついてしまって、何も面白い現象は無いように思われる。ところが、1ケルビンという低温領域で金属の電気抵抗が突然0になるという超伝導現象が発見されたのを契機に、液体ヘリウムの超流動転移、希薄アルカリ気体のボース凝縮など様々な量子凝縮相が極低温で発見された。室温では熱揺らぎに隠れてしまって見えない、多彩で不思議な物理現象が低温領域に隠れていたわけである。 当研究室ではこのような量子凝縮現象に興味を持ち、低温までの精密測定によってその物性を明らかにする研究を行っている。特に、電子系研究が全く行われてこなかった20 mK以下の超低温領域における量子臨界現象、超伝導現象の解明に力を入れている。さらに、絶縁体中のフォノンやスピンなどの非荷電励起の示す熱ホール効果やNMR 測定を用いた多極子秩序の研究に力を入れて研究を進めている。

物性研の核断熱消磁冷凍機。超低温(1 mK)・高磁場(10 T)の実験が可能。左下挿図が実験空間拡大写真。右下挿図が超低温トルク測定用カンチレバー。
(上)磁気スカーミオン格子によるマグノンに対するトポロジカルホール効果の模式図。(下)熱ホール伝導率の磁場依存性。磁気スカーミオン相でのみ、有限の熱ホール伝導率が観測された。

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