ISSP - The institute for Solid State Physics

物性研について
文字のサイズ: (小) / (中) / (大)
所長室から
Director MORI Hatsumi
物性研究所長 森 初果

物性研究所は、東京大学付置の全国共同利用研究所として、1957年に誕生し、2017年に60周年を迎えました。どの時代においても、「物質・物性の先端的基礎研究の推進による学理の追求と、基盤研究からの科学技術への貢献」を目指し、研究、教育、共同利用・共同研究を3本の柱として、物性コミュニティーの支援の下に活動を推進してきました。

本研究所では、最初の23年(第I期: 1957-1979年)、物理、化学、工学の物性分野から研究者を集めて20部門(後に22部門)を設立し、共同利用研として研究設備を整え、我が国における物性研究の向上に貢献しました。さらに、次の16年(第II期:1980-1995年)では、高度成長時代において、物質・物性研究の重点化と機動性を図るため、極限物性を行う大型装置・施設を構築して共同利用・共同研究に提供し、先端的な物質・計測技術開発、理論研究を推進しました。また、さらにこの23年(第III期:1996-現在)では、物性・物質科学の融合学術研究、および国際拠点を目指し、2000年に東大柏キャンパスへ移転し、新たな活動を展開しております。

物質・物性科学は、(1)概念軸(Design)、(2)物質軸 (Synthesis)(3)研究手法軸(Characterization)の3つの軸がDSCサイクルとして有機的に相互作用しながら、正のスパイラルで発展しております。本研究所も、小規模なグループで、機動的に先端研究の萌芽を作り、発展させる凝縮系物性研究部門、物性理論研究部門、およびナノスケール物性研究部門の3部門、中型・大型装置、施設を構築し、先端技術開発とともに研究を推進する物質設計評価施設、中性子科学研究施設、国際超強磁場研究施設、計算物質科学研究センター、極限コヒーレント光科学研究センター(LASOR)の3施設、2センター、そして研究支援を行う共通施設の編成となっており、全組織が協働してDSCサイクルを循環させております。

さらに、従来の物性・物質科学における学問領域の枠組みを超えた融合学術研究を推進するため、2017年に横断型グループとして、“量子物質グループ”と“機能物性グループ”が誕生しました。量子物質グループでは、本研究所の強みである強相関電子系の物質研究を発展させて、新物質で新たな量子現象、新概念を見出すことを目指しています。また、機能物性グループでは、これまで物性物理であまり取り扱われていなかった生体系物質を含むソフトマターや、素反応を含むエネルギーシステムなど、複雑系・階層系物質・システムを対象とし、その励起状態やダイナミクスを研究することに挑戦しております。2018年には、各々のグループに若手の新所員が着任し、2つのグループを中心に、新たな融合学術の創成にチャレンジしております。

また、物性・物質科学の発展が国内に留まることなく、国内と海外の研究者が協働で、学術研究を発展させることができるよう、共同研究の場、国際学術交流の機会を提供し、次世代の人材育成にも力を尽くしていきたいと思います。

物性研究所は、物質・物性科学の新たなフロンティアを開拓するという創立以来のスピリットを礎に、我々を取り巻く国内外の社会にも基盤科学の立場で貢献しながら、今後も国際的な拠点として、先端的な物質・物性研究、人材育成、共同利用・共同研究に取り組む所存です。今後も、皆様の変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2018年 4月
物性研究所長 森 初果