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在学生の声

私が物性研に決めた訳

森研究室(D1)伊藤 雅聡さん 新領域・物質系

(2023年3月取材時)

どのような研究をしていますか?

有機金属錯体に着目した分子性半導体材料の開発を行っています。最近では、電子とホールの両方を流すことができるアンバイポーラ型の分子性半導体材料を開発し、論文にまとめました(2022/12/14発表「大気下でもホールと電子の双方を流す新しい分子性半導体材料の開発に成功」)。

研究室はどのように選び、決めましたか?

もともと材料開発に興味を持っていて、教養の授業で「日本は機能性材料が強みで、いろんな産業の下支えになっている」という話を聞いて、世の中の物の性能を向上させたい、と思うようになりました。

大学院については、入学した時からぼんやりと頭にありました。進振り(学部3年への進級時の進路選択)で応用化学を選択して、実際始まってみると、専門的な内容は学部では全然足りないと感じて、修士への進学は割と早く決めてました。博士まで行くとはこの時は思ってませんでしたね(笑)。

研究室選びのイメージ図
興味のあることにはある程度の広がりがあるはずで、必ずしもど真ん中に入る研究室(黄色)があるとは限らない。研究室も色々なことをやっているので、一部でもかかっているところがあれば、候補から外さずに話を聞いてみるのが良いと思います。入った後も、興味のあるところ(桃色)をやれるとは限らなくて、少し外れたテーマをやる場合(水色)もあります。研究を進めていくうちに、自分の興味もだんだん変わっていくこともあるので、あまり決めつけずに。

学部の研究室では有機半導体の開発・合成をやっていたので、その流れから、似た分野を選びました。大学院の専攻は新領域で、新領域の場合は入試の時に希望研究室を10個くらい書きます、これは専攻によって異なるのですが。森研究室は、その中から決まりました。だからという訳ではないですが、少しでも興味があることをやっているラボがあったら、広く視野を持って探した方が良いと思います(右図)。研究室HP、紹介冊子など色々ありますが、それでもラボの一部しか書いてないと思うから。あまり学部生の時の知識・視野で「これ!」と決めつけないで、興味のあるラボの話を聞きまくる。そして、入ったラボでできること、使える環境は何でも使って、最大限やるのが良いと思います。

研究室に入ってからは、M1の5月から6月くらいに自分の研究テーマを決めます。当時、森研で行っていた研究テーマは4つくらいあって、その中から錯体(有機半導体)を選びました。学部の時には材料の開発・合成だけだったので、それを半導体デバイスとして動かすところまでまとめたいと思って決めました。

研究の大変なところ、楽しいところは何ですか?

時間でいったら、ほぼほぼ、9割方は「苦」ですね。トントン拍子に進むことなんて、まずないですから。

研究のステップとしては、材料の合成→成膜→電極などを付けてデバイス化→動作を測定→性能評価、と進めるのですが、技術的なところでつまづいたりします。例えば、性能を測るために膜にしたいだけなのに、何度やっても膜ができないとか。そういう時は、なぜ!と苦しいです。

研究室内では週1でゼミをやっていて、そこで進捗発表をして次に何をやるか相談したり、意見もらったりします。それ以外にもスタッフの方には細かく相談してます。他にも共同研究先である産総研の方に相談して、技術の基本的なことを教えてもらったり。とにかく研究室が持っている環境は何でも、ありがたく使わせてもらってます。

苦しいのは苦しいんですけど、だからこそ、トランジスタとして動いた時は本当に嬉しいです。先行研究の論文やデータと比較して、いい数値が出ると、ここまで出来たんだ、と思ったり。数値だけではなくて、大気中で動いた!とか。とても達成感があります。そうすると自分の作った材料に愛着が沸きます。おかしいですよね。

他にも、材料は作った状態ではただの粉なんですが、結晶化してX線を使って構造解析をしてみたら、原子レベルで規則的な構造が見えるのって単純にすごいと思ったり。面白いと思う瞬間はたくさんあります。後から振り返ると、苦しいかったことも美化されているというか。

将来、進路について聞かせてください

アカデミアとは限らず、ざっくり研究系を考えてます。昔からの思いの通り、自分の作ったものをいつか世に出したいので、企業での開発系かな、と今は考えてます。


松永研究室(D1)中川 真由莉さん 理学系・物理

(2022年3月取材時)

大学院進学を考え始めた/決めたのはいつごろ?

中学生の頃から、理科が好きで、特に分からないことを考えるのが好きだったので、研究する仕事に就きたいと考えてました。なので、大学入学の時から大学院進学を考えはじめ、実際に研究を始めてみてやっぱり楽しかったので博士課程まで行くことを決めました。

今の専攻、研究室を選んだ理由は?

もともと光に興味がありました。光って誰でも知っているけど、よく分からない。そうゆうところが面白いと思って。
学部と修士課程までは、別の大学で光を使った計測手法の研究を行なっていました。レンズやミラーをたくさん調整、工夫して良い計測を作るんです。その時の先生が松永先生をよく知っていて、勧められたのがきっかけです。
実際に見学に来て、装置もいろいろとあって、その時関心のあった偏光もやっていたので、開発してきた手法を実際に使って何か測定したいと思って決めました。

実際、入ってみてどうですか?

先生は何でもフラットに話を聞いてくれるので、とても話しやすいです。「何かあったらいつでも相談してください」ってよく声かけてくれますし、本当に協力的です。
あと、いろんなことをやっている研究室が周りにある環境も良いです。分からないことがあったらすぐ聞きに行けるし、研究が制限されることなく進められます。


杉野研究室(D1)片岡 佑太さん
理学系・物理

(2022年3月取材時)

今の専攻、物性研を選んだ理由は?

せっかく物理を学んだので、身近に使ってみたいという思いから物性分野を選びました。電磁気などの理論と実生活が合うのか、とか興味がありました。

研究は何が楽しいですか?何が大変ですか?

実験が好きなので、単純にデータが出ると嬉しいです。あと装置開発もやっているんですが、問題が発生した時、原因が何かを突き止めてクリアした時は達成感があります。逆に、装置不具合の原因が分からないことが続く時は大変です。

物性研を目指す人にひとこと!

すごい装置を学生でも使えるところが、とても良いです。最先端の装置で実験したい方は物性研へ是非!
分解能やいろんな性能で世界トップクラスの装置がいくつもあって、他には無い希少な装置を使えることにワクワクします。