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小野 清志郎氏(押川研M2)が理学系研究科研究奨励賞を受賞

押川研究室の小野 清志郎氏(M2)が、本学理学系研究科奨励賞を受賞しました。この賞は、理学系研究科の修士課程を修了する学生のうち、修士課程において優れた研究を行った者に贈られるもので、令和元年度は物理学専攻の4名を含む14名に授与されました。

授賞式の様子

受賞対象となった研究は「全ての内部対称性と空間群に対する対称性指標とその超伝導体への応用」です。

波動関数のトポロジーによって特徴付けられる物質相は、対称性の破れでは記述できない新奇な相です。近年、非自明なトポロジーをもつ物質(トポロジカル絶縁体・超伝導体)の探索が精力的に行われています。ある物質がトポロジカル物質であるかどうかは、原理的にはトポロジカル不変量の値によって判別できますが、 一般に物質中のトポロジカル不変量をその定義に則り計算することは容易ではありません。 そのような中で、結晶対称性の存在下では、結晶対称性の情報を利用して、電子のバンド状態から比較的簡便にトポロジカル(結晶)絶縁体を判別する対称性指標が2017年に提案されました。 さらに、この方法はデータ駆動的物質探索と相性が良く、複数の海外グループにより膨大な数のトポロジカル(結晶))絶縁体候補物質が発見されました。本修士論文では、元々の理論が結晶対称性と時間反転対称性のみしか考慮してないことに着目し、より一般の対称性について考察し、対称性指標の理論を拡張しました。 特にこの拡張された理論は、近年量子コンピューターへの応用可能性が指摘されているトポロジカル超伝導体を発見するために使うことができます。(バルク)トポロジカル超伝導体は未だに候補物質がほとんどなく、今後のトポロジカル超伝導体の物質探索研究に広く応用され、研究の発展に大きく貢献するものと期待されます。

関連論文

  • S. Ono and H. Watanabe, Phys. Rev. B 98, 115150 (2018).
  • S.Ono, H.C. Po, and H. Watanabe, Phys. Rev. Res. 1, 013012 (2019).
  • S.Ono, H.C. Po, and H. Watanabe, arXiv:1909.09634.

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(公開日: 2020年04月10日)