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元所員の辛埴 特別教授が放射光科学賞を受賞

元物性研究所教授の辛 埴(しん・しぎ)東京大学特別教授が、第3回放射光科学賞を受賞しました。この賞は放射光科学の進展に大きく貢献した研究者、または研究グループに授与されるものです。1月10日、ウインクあいち(愛知県産業労働センター)で行われた第33回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムにて本賞が授与されました。

授賞式
放射光学会長の朝倉清高教授(左、北海道大学 触媒科学研究所)と辛 埴 特別教授(右)

受賞対象は「軟X線放射光を用いた先端電子状態分光の開発と物性研究の開拓」です。辛氏は、世界初の放射光専用施設SOR-RINGをはじめ、つくばのフォトンファクトリー、播磨のSPring-8と、常に世界最先端の光源で先端電子状態分光の開発と物性研究の開拓を行い、世界最高性能を有する特徴ある装置を開発してきました。特に共鳴非弾性軟X線散乱(RIXS)分析装置を導入し、先駆的かつ包括的な研究によって世界的なRIXSブームの火付け役となりました。当時の世界最高分解能を達成するなど、高エネルギー分解能かつ高検出効率のRIXS分析装置の開発に成功しています。さらに独自の溶液セルを開発し、溶液やタンパク質の電子状態を観測する道を拓きました。また、超高分解能光電子分光装置を開発し、強相関物質、磁性材料、表面化学反応の研究において精緻な電子物性の研究を可能にしました。

一方、同氏は高調波レーザーを用いた真空紫外・軟X線域の電子状態測定でも顕著な業績を残しています。パルス特性、単色性、高輝度性、コヒーレンス性、偏光性、エネルギー可変性など、軟X線レーザーと放射光の相補性を活かした研究展開は、2種類の光源とその利用技術が相互に発展する絶好の機会を与えただけでなく、次世代放射光における最先端分光の位置づけを明確にしました。これらの装置は、現在も物性研の極限コヒーレント光科学研究センター(LASOR)にあり、世界中の研究者が利用に訪れています。

このように、放射光科学の発展に著しい貢献をしてきたことが、高く評価されました。

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(公開日: 2020年01月23日)