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益田研M2の長谷川舜介氏、日本中性子科学会ポスター賞を受賞

受賞した長谷川舜介氏(益田研M2)
受賞した長谷川舜介氏(益田研M2)

益田研究室の長谷川舜介氏(M2)が、日本中性子科学会第18回年会ポスター賞を受賞しました。12月4-5日に開催された年会にて行われた、100件以上のポスター発表の中から優秀なもの4名に対して本賞が授与され、その中の一人に選ばれました。

受賞対象となった発表タイトルは「マルチフェロイクスにおける磁気モーメントの特異な電場・温度依存性」です。マルチフェロイクスとは強誘電、強磁性、強弾性のうち、複数の秩序状態を併せ持つ物質です。磁性と誘電性に相関を持ったマルチフェロイクスでは電場によって磁性を制御することが出来ます。一方で、バルクの磁気的な相互作用や異方性が電場によって変化を受けることは今までに報告されてきませんでした。そこで、電気分極と磁気モーメントが局所的に関係づけられているマルチフェロイクスBa2MnGe2O7において電場によってスピンの向きを回転させ、その様子を中性子回折実験にて観察することで、電場による磁性の変化の観測を試みました。その結果、反強磁性転移温度(4K)に対して、低温(2.9K以下)では電場を大きくすることでスピンの回転角は単調に増加し、磁気異方性項と誘電エネルギー項を用いることで得られる計算によってよく説明されました。そこでは2.9Kに向かって温度を上昇させることでも回転角が増加しました。一方で、反強磁性転移温度4Kの近傍(3.3K)にまで温度を上昇させると、電場を大きくしてもスピンの回転角が変化しない領域が観測されました。この結果は、電場によって回転しにくさに対応する磁気異方性が大きくなったことを示唆しています。現在はこの磁性の非自明な電場依存性の機構解明に取り組んでいます。

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(公開日: 2019年03月04日)