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和達研の横山優一氏、IXS2017にてポスター賞を受賞

和達研究室の横山優一氏が、ドイツで開催されたInternational Conference on Inelastic X-ray Scattering (IXS2017)にてポスター賞を受賞しました。IXSはX線の非弾性散乱を用いた研究に特化した会議で、近年高分解能化が著しい軟X線の共鳴発光分光に加え、硬X線を用いた発光分光やコンプトン散乱などによる研究成果が発表されました。ポスター賞(POSTER PRIZE)は、本会議で発表された40件以上の中から特に優秀なものに贈られる賞で、本件を含む4件が選出されました。

エルベ川の船上で行われた受賞式の様子。一番左が横山優一氏。
エルベ川の船上で行われた受賞式の様子。一番左が横山優一氏。

受賞対象となった発表は“Epitaxial strain induced spin states of LaCoO3 thin films clarified by resonant inelastic soft x-ray scattering”です。

遷移金属を含む酸化物では強い電子相関によって電荷・スピン・軌道に自由度が生まれ多彩な物性を示すことが知られています。中でもコバルト酸化物のLaCoO3は、結晶構造と電子軌道が競合しているために、外的な刺激により、新たな電子状態が実現する物質です。横山氏らは、歪みによってスピン状態に自由度が生まれることに着目し、歪みの大きさが異なる複数のLaCoO3薄膜とバルクの電子状態をコバルト内殻(L3端)の共鳴軟X線発光分光で調べました。その結果、約1%の引っ張り歪みによって、歪みのないバルク状態では低スピンだったものが全て高スピンに変化することを見出しました。さらに、その高スピン状態は、歪んでいないOh対称性の高スピンと歪んだD2h対称性の高スピンが1:1の割合で共存していることが分かりました。以上のスピン状態と歪みの関係をSPring-8の東京大学ビームラインBL07LSUにある超高分解能軟X線発光分光装置HORNETを用いた実験で明らかにしました。

歪みによってスピンに新たな自由度が生まれ、それが制御可能であることを示した本研究成果は、スピンの自由度を活かしたスピントロニクスへの応用が期待されます。


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(公開日: 2017年09月11日)