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井上圭一准教授が晝馬輝夫 光科学賞を受賞

井上圭一准教授が、光科学の分野で独創的な研究業績をあげた研究者として、第2回晝馬(ひるま)輝夫 光科学賞を受賞しました。この賞は、光科学技術研究振興財団が設立したもので、日本の光科学の基礎研究や光科学技術の発展に貢献する研究において、独自に独創的な研究業績をあげた研究者個人に与えられるものです。本賞の贈呈式および受賞講演は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止となりました。

井上氏は、ロドプシンという光受容タンパク質を研究対象としています。ロドプシンは、動物から微生物まで幅広い生物の細胞膜上に存在するタンパク質です。大きく「動物由来」と「微生物由来」の2種類あり、動物では視覚など光に関わるシグナル伝達を行う機能を持ち、微生物では、主に光のエネルギーを使ったイオン輸送を担います。同氏は、新しいタイプのイオン輸送を行う微生物ロドプシンを多数見出し、さらにその輸送メカニズムの解明に成功しました。そして最近では動物由来と微生物由来の、どちらにも属さない全く新しいタイプのロドプシンを発見しました。またロドプシンの詳しい構造解析からイオン輸送機構を解明、応答する光の波長を長波長に変換することにも成功しています。これらの研究成果は、生物が光をどのように利用しているかを解き明かす学術的な意義に加え、オプトジェネティクスという、光を用いたうつ病などの脳神経疾患の治療や脳神経ネットワークの解明につながる、新しい生体分子ツールとしての応用が期待されています。

関連論文

  • “A light-driven sodium ion pump in marine bacteria.” Nat. Commun. 4, 1678 (2013).
  • “A natural light-driven inward proton pump.” Nat. Commun. 7, 13415 (2016).
  • “A distinct abundant group of microbial rhodopsins discovered using functional metagenomics.” Nature 558, 595-599, (2018).
  • “Schizorhodopsins: A family of rhodopsins from Asgard archaea that function as light-driven inward H+ pumps.” Science Advances 6, eaaz2441 (2020)

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(公開日: 2020年04月14日)