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トポロジカル熱電変換物質デザインへ向けた異常ネルンスト係数の第一原理計算

日程 : 2018年6月1日(金) 4:00 pm - 5:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 石井 史之 氏 所属 : 金沢大学大学院 自然科学研究科 数物科学専攻, 東京大学物性研究所 世話人 : 尾崎 泰助 (63285)講演言語 : 日本語

新たな物性の起源として,電子状態のトポロジーが注目を浴びている。多くの第一原理電子状態計算プログラムに初めて導入されたBloch波動関数のトポロジーに関連した計算手法は,1993年に提案された電気分極を計算するKing-SmithとVanderbiltによるベリー位相の方法[1]である。我々はこれまで,ベリー位相の方法,それを拡張したベリー曲率,トポロジカル不変量(Chern数, Z2数)の計算手法の第一原理電子状態計算プログラムへの実装とその応用[2-5]に取り組んできた。本講演では,それらの熱電変換現象への応用例について紹介する。

我々は,熱電変換材料の高効率化を模索する新たな方向性として,ベリー曲率由来の異常ホール係数のフェルミ準位依存性が重要となる,異常ネルンスト係数の大きな系の物質デザインをめざしている。その取り組みとして,スカーミオン結晶モデル[4], 酸化物薄膜スカーミオン結晶[6], ハーフホイスラー強磁性体[7]についての我々の最近の研究を紹介し,ベリー曲率が誘起する巨大な熱電変換効果を示す物質, トポロジカル熱電変換物質デザイン指針の構築についての展望を述べる。

[1] R.D. King-Smith and D. Vanderbilt, Phys. Rev. B, 47, 1651(1993).
[2] F. Ishii and T. Oguchi, J. Phys. Soc. Jpn., 71, 336 (2002).
[3] F. Ishii, N. Nagaosa, Y. Tokura, and K. Terakura, Phys. Rev. B 73, 212105 (2006).
[4] Y. P. Mizuta and F. Ishii, Sci. Rep., 6, 28076(2016).
[5] H. Sawahata, N. Yamaguchi, H. Kotaka, and F. Ishii, Jpn. J. App. Phys., 57, 030309 (2018).
[6] Y.P. Mizuta, H. Sawahata, and F. Ishii, arXiv:1803.08148.
[7] S. Minami, F. Ishii, Y.P. Mizuta, and M. Saito, arXiv:1804.00297.


(公開日: 2018年05月18日)