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高繰り返しシングルショット分光法の開発とマルチ時間スケールダイナミクスのへ応用

ワイル反強磁性金属Mn3Sn薄膜のテラヘルツ異常ホール効果
高繰り返しシングルショット分光法の開発とマルチ時間スケールダイナミクスのへ応用

日程 : 2021年5月28日(金) 10:00 am - 12:00 pm 場所 : ZOOM開催 世話人 : 栗原貴之
e-mail: takayuki.kurihara@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

1. 松田 拓也 (松永研究室)

【講演タイトル】
ワイル反強磁性金属Mn3Sn薄膜のテラヘルツ異常ホール効果

【 概要】
反強磁性スピンはテラヘルツ周波数帯で動作するため高速スピントロニクスの観点からも近年注目を集めているが、強磁性と比べて外場に対する応答が非常に小さいためにスピン秩序の情報を読み出すことが難しいという問題点が実用化を阻んでいる。近年、スピン多極子秩序に由来したワイル反強磁性金属Mn3Snが、室温で強磁性並みの巨大な異常ホール効果を示すことが明らかにされ注目を集めている[1,2]。本研究では、高精度偏光分解テラヘルツ時間領域分光系を開発し、Mn3Sn薄膜の異常ホール効果をテラヘルツ周波数帯で観測した。その結果、強磁性体並みに大きな異常ホール電流がテラヘルツ周波数帯でもほぼ無散逸に流れることや、スピン秩序が半年以上経過しても安定に保持されること等を明らかにした[3]。本講演では得られた結果の詳細や今後の展望について紹介したい。
[1] S. Nakatsuji, N. Kiyohara, and T. Higo, Nature 527, 212–215 (2015).
[2] K. Kuroda et al., Nature Mater. 16, 1090–1095 (2017).
[3] T. Matsuda et al., Nature Commun. 11, 909 (2020).

2. 小林 真隆 (秋山研究室)

【講演タイトル】
「高繰り返しシングルショット分光法の開発とマルチ時間スケールダイナミクスのへ応用」

【概要】
物質の超高速応答の理解は、次世代の半導体デバイスや相変化材料を用いた記憶デバイスの開発に重要である。光誘起の相変化現象では、電子励起に伴うサブピコ秒の速い緩和ダイナミクスが引き金となり、ナノ秒〜マイクロ秒の広範な時間スケールで構造変化が生じる不可逆現象であるが、このダイナミクスを完全に理解するためには、構造変化途中を含めた高速ダイナミクスを連続的に測定する必要がある。本研究では、超高速の波形信号の変化をリアルタイムで測定可能な高繰り返しシングルショット分光手法を開発し、超短パルスレーザーを用いた微細加工の観測に応用することで、1パルス毎の表面構造の変化に伴うキャリアダイナミクスの変化を明らかにした。

「問合せ先:栗原貴之 takayuki.kurihara@issp.u-tokyo.ac.jp」


(公開日: 2021年05月21日)