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連続時間測定下の近藤効果

日程 : 2021年12月24日(金) 14:00 - 15:00 場所 : ZOOM開催 (セミナーへのzoom linkは下記のgoogle formにて登録後に表示されます) 講師 : 長谷川 雅大 氏 所属 : 慶應義塾大学 理工学部 世話人 : 加藤 岳生、阪野 塁
e-mail: sakano@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

近年、注目系と環境系の間の散逸過程をコントロールすることが可能となり、適切に制御された散逸を用いて新しい物理現象を発現させる技術(散逸エンジニアリング)が非平衡統計力学分野で盛んに研究されている。特に、量子測定による反作用は、散逸エンジニアリングとして取り扱うことができる興味深い物理の一つで、量子多体系に対して量子測定を行うことで生み出される新しい物理現象が注目を集めている[1]。本研究では、半導体界面上の量子系に散逸エンジニアリングの考え方を導入し、近藤効果に対する量子測定効果を議論する。近藤状態は、不純物準位に立つ局在スピンを打ち消すように伝導帯準位に逆向きのスピンが集まるスピンシングレット状態で、不純物準位に電子が一つだけ存在する状態である。電子が不純物準位に0個あるいは2個存在する状態は、近藤効果を妨げる存在であり、通常は強い電子間斥力によって抑制される。本研究では、近藤状態に対して不純物準位に電子が1個存在する状態への局所的な射影測定を連続時間で行った場合に、量子測定の反作用が近藤状態に与える効果を考察する。
本研究では量子測定が近藤効果に与える効果を定性的に明らかにし、量子測定下での実効的な近藤温度を導出するため、不純物準位に電子が1個存在する状態への射影測定が作用するアンダーソン不純物模型を解析した。手法として、量子測定下に拡張されたケルディッシュ形式[2]と非ユニタリー変換に拡張したシュリーファー・ウルフ変換を組み合わせ、有効ハミルトニアンとして非エルミート近藤模型を導出し、摂動論を用いて量子測定下の近藤効果を評価した。本講演では、以上の手法から得られた、(i) 量子測定が近藤効果の特徴の一つである近藤共鳴ピークが減じさせる効果をもつこと、(ii) 非ユニタリー変換によって導出された非エルミート近藤模型が示す近藤温度への量測定効果の依存性の2つの結果について議論する[3]。

 

[1]M. Nakagawa, N. Kawakami, and M. Ueda, Phys. Rev. Lett. 121, 203001 (2018).
[2]L. M. Seiberer, M. Buchhold, and S. Diehl, Rep. Prog. Phys. 79, 096001 (2016).
[3]M. Hasegawa, M. Nakagawa, and K. Saito, arXiv:2111.07771 (2021).

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(公開日: 2021年12月08日)