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水素と水の物性科学

日程 : 2009年10月12日(月) - 2009年10月16日(金) 場所 : 生命の森リゾート・研修センター(千葉県長生郡長柄町) 主催 : 東京大学物性研究所 世話人 : 吉信淳 (63320)
e-mail: issp11scrt@issp.u-tokyo.ac.jp

水素や水分子は,地球を含めた宇宙にユビキタスに存在する原子・分子である.宇宙存在度がとびぬけて大きい水素は,固体中に容易に侵入して固体の構造や電子物性を大きく変化させる.古くから知られる金属の水素脆性や不純物水素による半導体の不活性化,近年発見された水素吸蔵に伴う金属-絶縁体転移はその顕著な例である.地球科学分野ではマグマにわずかにとけこんだ水素(水)が,マグマの物性を大きく変化させることが知られている.生体中の水素は水や有機物を構成して水素結合という重要な分子間結合を担う.プロトンと水の輸送は,もちろん極めて重要な生体反応である.こういった物質中の水素は,原子核の質量が小さいために大きな振動エネルギーと核波動関数の広がりをもち,トンネル効果をはじめとしてさまざまな量子効果をもたらすことが知られている.
 近年,中性子,放射光,レーザーなどを用いた新しい実験手法や計算機シミュレーション手法の発展により,水素や水分子を含む凝縮系の定量的な研究が格段に進展しつつあり,これまで各分野個別に進められてきた研究を分野横断的に見直すための基盤が整ってきた.物性研究所は,中性子・放射光・スーパーコンピューターなどの施設を有し,水素や水の関わる研究が共同利用研究者も含めて近年活発に行われており,国際シンポジウムを開催するのにふさわしい研究所と考えられる.また,シンポジウム開催予定の2009年には,J-PARCが稼働を始め,関連分野の研究が一層の活性化と飛躍を見ることも期待される.
 そこで本シンポジウムでは,さまざまな分野の研究者から提供される話題を物性物理学の観点で整理・議論することにより,各分野での新たな展開と融合領域の開拓を目指す.

http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/public/ISSP-11/index.php


(公開日: 2008年05月24日)