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実空間差分法を用いた第一原理電気伝導特性計算

日程 : 2015年10月30日(金) 16:00 - 17:00 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 小野 倫也 所属 : 筑波大学 計算科学研究センター 世話人 : 赤井 久純 (63493)
e-mail: akai@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

将来のIT産業を支える半導体デバイスや光通信デバイスには,原子・分子サイズの構造を利用したデバイスの応用が期待されている.このようなサイズの素子を持ったデバイスを作製するには,原子・分子の一つひとつの性質から,組織化されたナノ構造体の性質までを明らかにし,得られた知見をもとにしてデバイスの設計を行わなければならない.ところが、原子・分子レベルの物理・化学現象は実験方法や実験条件に左右されることが多いため,正確な物理・化学現象解明のためには,実験による解析に加えて理論計算による解析も必要である.
このような背景から,これまでにナノ構造の電子状態や電気伝導特性を量子力学の第一原理に基づいて計算する方法が数々提案されてきた.我々のグループでは,独自に実空間差分法に基づく第一原理電子状態計算法,そして実空間差分法を伝導特性計算に応用したOverbridging boundary-matching法を開発した.実空間差分法は,京コンピュータのような超並列計算機での実行に適したアルゴリズムになっている.そのため,将来,大規模なモデルを用いて分子デバイス,半導体デバイスやスピントロニクスデバイスなどの機能解析・予測シミュレーションを実現する可能性を秘めている.我々のグループでは,これらの方法に基づく計算コードを作成し,RSPACEと名付けている.
本セミナーでは,実空間差分法に基づく第一原理電気伝導計算法を説明し, この手法に基づいて開発された計算コードRSPACEを用いて半導体基板の熱酸化過程を調べた例や、MOS界面の界面欠陥がリーク電流に与える影響を調べた例など,エレクトロニクスデバイス開発に関連するシミュレーションを紹介する.


(公開日: 2015年10月19日)