粉末中性子磁気構造解析の現状
日程 :
2017年1月17日(火) 2:00 pm - 3:00 pm
場所 :
物性研究所本館6階 第2セミナー室 (A612)
講師 : 萩原雅人 所属 : 物性研究所 世話人 : 益田隆嗣 (63415)
e-mail: masuda@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
e-mail: masuda@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
中性子回折法は磁性体の磁気構造決定において最も強力なツールである。従来数ミリオーダー以上の単結晶試料による弾性散乱測定により磁気構造が決定されてきたが、中性子線の出力や回折装置の高度化により微小単結晶でも解析できる十分なデータが得られるようになった。一方、結晶の方向の情報が失われる粉末試料においても、結晶の空間群の対称性を用いた磁気モデルの構築を利用することにより、磁気構造解析が結晶構造解析と同じく一般的なものになってきた。この背景には磁気既約表現によるモデリング[1]と、FullProf[2]やGSAS[3]等のRietveld粉末解析ソフト、VESTA[4]等の可視化ソフトとの密接な連携がある。最近では元の空間群との関係や、対称性と物理的性質のつながりを明確にする観点から、磁気空間群を用いた磁気モデルの構築が再評価されており、この支援環境も充実しつつある[5]。
本セミナーでは既約表現や磁気空間群による磁気構造解析の概要を示すとともに、実際にオークリッジ国立研究所の研究用原子炉HFIRなどで測定された回折実験のデータをもとに、各支援ソフトを用いた磁気構造解析例を示す。
備考 : [1] Y. A. Izyumov and V. E. Naish, J. Magn. Magn. Mater. 12, 239 (1979).[2] J. Rodriguez-Carvajal, Physica B 192, 55 (1993).[3] A.C. Larson and R.B. Von Dreele, Los Alamos National Laboratory Report LAUR 86-748 (2000).[4] K. Momma and F. Izumi (2011): J. Appl. Crystallogr., 44, 1272-1276.[5] M. I. Aroyo, J. M. Perez-Mato, D. et al., Bulg. Chem. Commun. 43(2) 183-197 (2011).
(公開日: 2017年01月10日)