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超強磁場における新規相の探索

日程 : 2015年12月24日(木) 16:00 - 17:00 場所 : 物性研究所本館6階 大講義室(A632) 講師 : 松田 康弘 氏 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 加藤 岳生 ・ 山下 穣講演言語 : 日本語

 磁場は電子のスピンや軌道運動に直接作用するため、物性研究において重要な環境因子である。強磁場で期待される磁場誘起相転移は物質の隠れた性質の顕在化と捉えることもでき、多彩な新奇現象が期待される。室温程度のエネルギースケールをもつ強い相互作用がある場合、相転移には数百テスラの磁場が必要である。実験的には破壊型マグネットの領域となる。
 物性研究所は45年以上にわたる破壊型パルス磁場研究の歴史を有し、一巻きコイル法と電磁濃縮法によって100 ~ 700 T超強磁場領域での研究が可能である。最近の磁場発生、及び物性測定技術の進展によって、以前は困難であった様々な実験が可能になってきた。嶽山研で行われた600 Tまでのクロムスピネルの全磁化過程の解明[1]や、我々が報告した200 T領域での固体酸素の磁場誘起新規相の発見[2]はその一例である。
 講演では、破壊型を念頭においた強磁場研究の意義を簡単に述べた後、実験技術について言及する。さらに、研究室で取り組んでいるいくつかのテーマの中から、(i) 近藤半導体YbB 12 の磁場誘起絶縁体−金属転移[3]、及び、(ii) LaCoO 3 の磁場誘起スピン転移とスピン状態結晶相[4]、について最近の結果を紹介する。

[1] A. Miyata et al., Phys. Rev. Lett. 107, 207203 (2011).
[2] T. Nomura et al., Phys. Rev. Lett. 112, 247201 (2014).
[3] T. T. Terashima et al., in preparation.
[4] A. Ikeda et al., in preparation.

【講師紹介】
 松田康弘先生は強磁場施設を利用して100テスラ以上の強磁場を用いた様々な
物性研究を展開されています。今回は、強磁場研究の意義や最近の研究成果を、
わかりやすくご講演いただきます。


(公開日: 2015年12月09日)