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ダイヤモンド中窒素空孔中心を用いた量子センシング

日程 : 2022年9月29日(木) 1:30 pm - 2:30 pm
* 講演内容は実験に関するものです
場所 : on ZOOM(下記リンクより事前にご登録ください) 講師 : 佐々木 健人 氏 所属 : 東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻 世話人 : 加藤 岳生
e-mail: kato@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

本来は無⾊透明であるダイヤモンドは、その中に発光を⽰す点⽋陥が含まれる場合、カラーダイヤモンドと呼ばれるようになる。ダイヤモンドには百種類を以上の⽋陥が発⾒されているが、その中でも特に、窒素空孔(NV)中⼼という⾚⾊発光を⽰す⽋陥に近年注⽬が集まっている。

NV 中⼼には電⼦スピンと光学遷移が相関する特別な性質がある。我々はこの性質を利⽤してNV 中⼼の電⼦スピンを初期化、読み出し、量⼦操作できる。また、顕微鏡を⽤いれば単⼀NV 中⼼でも検出できるため、単⼀量⼦ビットとして利⽤できる。2008 年以降、NV 中⼼を磁場[1]や温度[2]のセンサーとして利⽤する量⼦センシング研究が世界中で⾏われるようになった。この技術は、量⼦操作を駆使し、局所的な磁場や温度による単⼀電⼦スピンのエネルギーシフトを精密測定することで実現される。従来法では達成が困難な⾼い空間分解能、感度、定量性が同時に得られる画期的な技術である。特に、NV 中⼼のセンサー動作は、極低温から室温を超える⾼温、10 GPa を超える超⾼圧環境でも保たれる。最近では、これらの利点を⽣かして物性計測へ応⽤する研究が始まっている[3]。

本発表では、NV 中⼼の基本的な性質、磁場や温度の計測原理、量⼦操作の⽅法や発展などを説明した後、我々が東京⼤学⼩林研で進めている物性計測応⽤について紹介する。

[1] J. M. Taylor et al., Nat. Phys. 4, 810 (2008)
[2] G. Kucsko et al., Nature 500, 54 (2013)
[3] F. Casola et al., Nat. Rev. Mater. 3, 17088 (2018)

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(公開日: 2022年09月20日)