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阪口佳子氏(吉信研M2)が日本物理学会の学生優秀発表賞を受賞

𠮷信研究室の阪口佳子氏(修士課程2年生)は、3月18日から21日にかけてオンラインで行われた日本物理学会2024年春季大会において領域9学生優秀発表賞を受賞しました。同賞は、学会において優れた講演発表を行った学生に対して授与されるもので、研究内容と発表の両面が審査されます。

受賞対象となった発表は、「Cu(977)およびPd/Cu(977)表面におけるメタノールの脱水素化反応」です。

オンライン授賞式の様子

オンライン授賞式 学生優秀発表賞を受賞した阪口佳子氏

メタノールは様々な物質の原料となる有用な化学物質であり、また,その年間生産量の30%以上はホルムアルデヒドへ変換されます。メタノールの合成や改質反応には触媒としてCuが用いられることから、Cu表面におけるメタノールの表面化学過程はよく研究されています。阪口氏らは、活性サイトとしてステップを持つCu(977)表面およびPdを少量蒸着して単原子合金化したPd/Cu(977)表面を調製して、メタノールの吸着・脱離・反応過程について,昇温脱離質量分析(TPD)、赤外反射吸収分光(IRAS)、および放射光による高分解能X線光電子分光(HR-XPS)により分析しました。

メタノールを吸着させたCu(977)とPd/Cu(977)表面のTPD測定により、それぞれ特定温度でのホルムアルデヒドの脱離を観測しました。これにより、Cu表面のステップサイトも、Cu基板表面のPd単原子サイトも、ともにホルムアルデヒド生成を促進する効果があることがわかりました。また、水素分子の脱離ピークの観測および反応中間体の観測により、反応中メトキシ種が生成されていることと、生成されたメトキシ種のほぼ100%がホルムアルデヒドになることを明らかにしました。また、メトキシ生成過程はPdにより促進されていること、Pdサイト周辺にメトキシ種が吸着している可能性が示唆されることも報告しました。これらの研究成果と発表が認められ、同賞が授与されました。

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(公開日: 2024年03月28日)