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白井亜美氏(松永研 M2)が光物性研究会で奨励賞を受賞

松永研究室の白井亜美氏(修士課程2年生)は、12月8日、9日に大阪大学で行われた第34回光物性研究会において第34回光物性研究会奨励賞を受賞しました。同賞は将来の光物性研究を担う優秀な大学院生の研究・発表を奨励し表彰するために贈られるもので、同分野において第一著者として研究論文を執筆し、研究会にてポスター発表を行なった大学院生が対象です。

受賞対象となった研究は「直線偏光及び円偏光の光励起による室温シリコンの異方伝導ダイナミクスとHall伝導の研究」です。

受賞者の写真

光物性研究会奨励賞を受賞した白井亜美氏

現代エレクトロニクスは半導体の電荷を制御してキャリアを輸送することによって成り立っていますが、キャリアが持つスピン自由度を利用したスピントロニクス研究も盛んに行われています。特に、電荷の流れ(電流)とスピンの流れ(スピン流)の相互変換を可能にするスピンHall効果及び逆スピンHall効果が非常に重要な役割を果たしています。しかし、半導体産業の代表物質であるシリコンは、スピン軌道相互作用が小さいためスピンHall効果が非常に小さく、そのためスピントロニクス素子としての研究ではあまり注目されていないのが現状です。

白井氏は、シリコンにおいて運動量空間におけるバレー自由度や軌道角運動量自由度に注目して、近赤外パルスとテラヘルツ偏光分解計測を使って研究を進めてきました。直線偏光や円偏光を駆使して間接遷移バンドギャップ端にキャリアを励起して、その時に生じる光学伝導度テンソルの非対角成分に注目して実験を行うことで、バレーや軌道の自由度に由来すると考えられる応答とそのダイナミクスを初めて捉えることに成功しました。この成果は、室温においてシリコンのキャリアが持つバレーや軌道の自由度が伝導特性に与える影響を光物性研究の立場から初めて明らかにしたものとして、基礎物理学的にも応用上でも画期的な成果であると考えられ、高く評価され受賞に至りました。

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