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山田暉馨ISSPリサーチフェロー(徳永研)が強磁場科学研究会で若手優秀発表賞を受賞

徳永研究室の山田暉馨ISSPリサーチフェローは、12月7日、8日に東北大学で行われた強磁場科学研究会「強磁場研究における次世代ネットワーク形成とサイエンスの新展開」において若手優秀発表賞を受賞しました。同研究会は強磁場研究における次世代ネットワーク形成に焦点を当てながら、全国共同利用を通して行われた最新の研究成果を共有、大型強磁場施設外への研究展開を見据えた議論の場の提供を目的としています。

受賞対象となった研究は「磁気輸送現象における非平衡-平衡クロスオーバー」です。

受賞者の写真

若手優秀発表賞を受賞した山田暉馨ISSPリサーチフェロー

3次元の磁気伝導度を表すテンソルは、古典論から導出可能かつ大変に簡便な公式が知られており、最新の磁場中電気抵抗測定実験の解析にも広く供されています。一方、これに対応する公式を量子論から見出すことは容易ではなく、古典公式がどの程度の磁場範囲まで適応可能かは不明なままでした。

山田氏は、磁場中で量子化した電子状態をスタートとして古典的な磁気伝導度テンソルに対応する公式を導出することに成功し、この対応関係があらゆる磁場領域で成り立つことを示しました。また、ホール伝導度が高磁場で非散逸伝導へのクロスオーバーを起こすことにより、磁気抵抗率(磁気伝導度の逆テンソル)の量子振動に位相ずれが生じうることを明らかにしました。さらに、本理論はキャリア数保存の制約を受けないことから、正負両方の荷電キャリアをもつ半金属において、磁場に依存するキャリア密度を考慮した輸送計算が可能となりました。これはスピン軌道相互作用が強い系では特に重要で、ビスマスにおいてはキャリア密度の磁場依存性が磁気抵抗率の異方性を消失させる効果を持つことが指摘されています。これらの一連の研究と発表が評価され、同賞の受賞にいたりました。

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