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尾崎 文彦(吉信研D1)氏、NanospecFY2021miniのショートプレゼンテーション学生賞金賞を受賞

吉信研究室D1(研究当時M2)の尾崎 文彦氏がNanospecFY2021miniのショートプレゼンテーション学生賞金賞を受賞しました。この賞は、NanospecFY2021mini(SPring-8ユーザー協同体顕微ナノ材料科学研究会、日本表面真空学会放射光表面科学研究部会、日本表面真空学会プローブ顕微鏡研究部会 合同ミニコンファレンス)にてショートプレゼンテーションを行った中から金賞1名、銀賞1名、銅賞2名に授与されるものです。

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受賞対象となった発表は「顕微XPSによるMoS2エッジ面の電子状態解明と水素相互作用」です。

二硫化モリブデンMoS2は、古くから水素化脱硫触媒として工業的に使用されてきました。MoS2基底面はS原子で終端されていることから不活性であることが知られており、これまでの研究で反応における活性サイトがエッジサイトであることが報告されています。エッジサイトに関する研究はナノスケールのプローブ顕微鏡や第一原理計算によって研究されてきましたが、スケールの小ささや規定した表面調製の難しさから、その化学的性質や電子状態についての分光学的研究はありませんでした。そこで、物性研究所小林研究室と共同で超短パルスレーザーを用いて単結晶MoS2を切断することにより縁ダレのないMoS2断面を作製し、放射光による高分解能光電子分光を用いてエッジ面のみの電子状態を直接測定することに成功しました。

特に、基底面では観測されないエッジに特有の配位不飽和なMoの電子状態が観測されました。さらに、この不飽和なMoサイトが反応において重要な役割を果たしていると推察されたため、このエッジサイトに関する反応を雰囲気光電子分光により検証しました。水素雰囲気で配位不飽和なMoサイトのシグナルの減少が観測されたことから、このMoサイトが反応に寄与していることを示しました。

本研究は物性研究所の小林研究室および松田巌研究室との共同研究によって行われました。

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(公開日: 2022年06月03日)