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「低次元電子系におけるエキシトニック相の新展開」

日程 : 2015年11月26日(木) 8:30 am - 2015年11月28日(土) 6:30 pm 場所 : 物性研究所本館6階 大講義室(A632) 世話人 : 溝川貴司 (03-5286-3230)
e-mail: mizokawa@waseda.jp
講演言語 : 日本語

半金属あるいは半導体において、電子と正孔がクーロン引力によって励起子を形成してBCSあるいはBEC的に凝縮した状態はエキシトニック相と呼ばれます。BCS理論が確立した後の1960年代にエキシトニック相は理論的に予言されましたが、その後、実験的に存在が確立していない状況が続いておりました。近年、TiSe2やTa2NiSe5等の遷移金属カルコゲナイドがエキシトニック相の候補物質として指摘され、新しい局面を迎えています。特に、Ta2NiSe5は様々な実験的・理論的手法によって理想的なエキシトニック相に近いことが確認され、さらに高圧下で超伝導が発見され注目を集めています。

一方、強磁場下のグラファイトは磁場誘起半金属-半導体転移を示すことが古くから知られており、その近傍でエキシトニック相の可能性が議論されてきました。最近53T以上の強磁場下で発見された新電子相についてエキシトニック相の可能性が指摘され、新局面を迎えています。同じく代表的な半金属であるビスマスでは、磁場中で3回対称性を破る相転移が見いだされており、これらの強磁場下の新電子相の解明は急務となっています。

さらに、T’型銅酸化物でのO 2p-Cu 3d電荷移動型エキシトニック不安定性、有機系ダイマーモット相でのダイマー内電荷励起、鉄系超伝導体でのスピン・電荷・軌道揺らぎの研究が機を同じくして新展開を迎えており、重い電子系で議論されてきました電荷揺らぎ超伝導との関連が注目されています。半金属・半導体のエキシトニック相と相関電子系のスピン・電荷・軌道揺らぎとの関係について議論を深めることによって、スピン・電荷・軌道揺らぎと超伝導との関係についても新しい視座が得られると期待されます。

以上の状況を踏まえて、半金属・半導体でのエキシトニック相と相関電子系でのスピン・電荷・軌道揺らぎの両者を総合的に俯瞰した意見交換の場として、本短期研究会を企画いたしました。

http://www.f.waseda.jp/mizokawa/excitonic


(公開日: 2015年10月01日)