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第38回極限コヒーレント光科学セミナー「電子を用いた新しい水溶液計測法の開発とその応用」

日程 : 2016年6月23日(木) 14:00 - 15:00 場所 : 物性研究所本館6階 第一会議室 (A636) 講師 : 由井宏治 所属 : 東京理科大学 世話人 : 原田慈久講演言語 : 日本語

強いレーザーパルス光を水溶液中の物質に集光照射すると、物質は誘電破壊されプラズマ化する。発表者は、水溶液がプラズマへ相転移する前に溶液中に生み出された電子が、周囲の水分子の分極率の変化を誘起し、ラマン散乱断面積の10^2~10^5倍の増強を促すことを見出した。ラマンスペクトルは、分子の微視的構造や相互作用を鋭敏に反映するため、水溶液の微視的環境・物性の起源に関する情報を得ることができる。ラマン散乱分光法は水の強い赤外吸収に妨害されないため、発表者はこれらの特徴を活かして、これまで計測の難しかった様々な不均一系、また観測窓の限られる極限条件における水の微視的環境を明らかにしてた。また水溶液環境が重要となる生体・環境・様々な産業プロセスへの応用分析にも期待がもたれる。またレーザー誘起ではなく、最近の水溶液中電極間放電プラズマを用いた実験系についても紹介したい。


(公開日: 2016年06月13日)