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理論インフォーマルセミナー:第一原理電子状態計算を用いた新奇硫化物熱電材料の物性解明とマテリアルデザイン

日程 : 2016年8月26日(金) 16:00 - 17:00 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 宮田 全展 氏 所属 : 北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 世話人 : 尾崎 泰助 (63285)
e-mail: t-ozaki@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

熱電発電とはゼーベック効果を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術であり,密度の低い自然エネルギーや廃熱を用いて発電を行う“エネルギーハーベスティング”の中でも重要な位置を占めると期待されている.熱電発電素子として応用されているBi2Te3やPbTeは希少元素Teを含むため,Teを含まない熱電材料の開発が求められている.同じ16族で地殻に豊富に存在する硫黄SはTeの代替元素として有望であり,Sを主成分とした硫化物熱電材料の研究が精力的に行われている.
我々は硫化物に注目し,第一原理電子状態計算と実験の両面から遷移金属硫化物ウルマナイトNiSbSが巨大な出力因子を示すことを明らかにした[1].第一原理電子状態計算ソフトウェアパッケージOpenMX[2],ランダウアー理論に基づく電子輸送計算ツールQTWARE[3]を用いた詳細な電子構造の解析からNiSbSの高い出力因子の起源は化学ポテンシャルμ近傍の擬ギャップ構造であることを明らかにした.本講演ではこれらの詳細について発表するとともに,第一原理電子状態計算を用いた新奇硫化物熱電材料のマテリアルデザインについても紹介する[4].

[1] M. Miyata, T. Ozaki, S. Nishino, and M. Koyano, (submitted to J. J. Appl. Phys.).
[2] T. Ozaki, Phys. Rev. B 67, 155108 (2003).
[3] http://www.rs.tus.ac.jp/takahiro/QTWare.html.
[4] M. Miyata, T. Ozaki, and M. Koyano, (submitted to J. Electron. Mater.).


(公開日: 2016年07月27日)