【要旨】
近年、孤立平衡系を中心とした従来の物性物理の枠組みを越えて、非平衡開放系で実現される物性物理に大きな関心が集まっている。そのようなめざましい進展にも拘らず、非平衡開放系で現れる物性現象は、重要な問題でさえも、依然として理解が確立していない。また、今後のさらなる発展が期待される量子技術分野において、非平衡開放系の理解はさらに重要性を増していくと考えられる。私は、非平衡開放系で現れる多彩な物性現象をはじめとして、物性理論の新しい基礎を確立することを目指して研究してきた。とくに、対称性やトポロジーといった一般的な概念をもとにして、普遍的であるがゆえに種々の実験を記述および予言するような基礎理論を構築し、新しい物性物理を開拓することを目指してきた。本発表では、非エルミート物理における対称性とトポロジーからより最近の成果まで、私のこれまでの研究を概観し、同時にこれからの展望についても議論する。

【講師紹介】
川畑先生は令和5年7月に物性理論研究部門に着任されました。川畑先生は、非エルミート系など、非平衡開放量子系の分類理論などでよく知られています。本講演会では、今後の関連分野の動向も含め、物性研での研究展開の方向性についてご講演いただけるものと思います。是非皆様ご来場ください。　

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