高次高調波レーザーと放射光の協創と共存による分光革命
e-mail: shin_shinobu@issp.u-tokyo.ac.jp講演言語 : 日本語
この十数年で急激な進化を遂げた高次高調波レーザーが分光分析に耐える強度をもつ軟X線光源となり、幅広い波長領域で放射光とオーバラップするに至り、それぞれの光源を活かしたサイエンスの協創と共存を実現すべく、2012年に物性研LASORが発足した。協創領域として、放射光が培ったビームライン・エンドステーションと高次高調波レーザー光源の技術融合があり、高次高調波レーザーの超短パルス特性を活かして、放射光では成しえなかったフェムト秒からアト秒領域の時間分解極端紫外・軟X線分光実験が実現している。一方で、昨今のX線自由電子レーザーの発展も目覚ましく、シングルフェムト秒の時間領域に踏み込むとともに、軟X線領域で1パルス当たりの光子数が高次高調波レーザーの105倍を超えて、非線形現象が観測されるに至っている。逆に高次高調波レーザーは非破壊的な高繰り返し実験が可能であるなど、それぞれの特性を活かす形で測定対象が分かれ、共存している。
本研究会では、これからの高次高調波レーザーと放射光の発展を見据えて今後の協創と共存のあり方を議論する。惜しくも昨年6月にLASORの生みの親である辛埴先生が逝去された。これまでの殻を打ち破って全く新しい連携を模索し、技術革新を継続することが、故人の遺志を継ぎつつ、LASORとしての存在意義を高めて行くことに繋がる。そこで研究会は二部構成とし、第1部ではLASOR発足後10年間の高次高調波レーザーと放射光を用いた研究の発展を辛埴先生の描いた青写真と共に振り返り、第2部ではLASORの新たな青写真となりうる研究の紹介や提案を議論する。