磁気スキルミオン格子の生成と構造制御
日程 :
2022年7月6日(水) 4:00 pm - 5:00 pm
場所 :
Zoomによるオンライン開催
講師 : 高木 里奈 所属 : 東京大学大学院 工学系研究科 総合研究機構(物理工学専攻)助教 世話人 : 長田 俊人 (63595)
e-mail: osada@issp.u-tokyo.ac.jp
e-mail: osada@issp.u-tokyo.ac.jp
近年、トポロジーの概念を基軸とした物性研究が盛んに行われている。特殊なトポロジーを持つスピン構造である磁気スキルミオンは、粒子としての性質を有し、次世代の磁気メモリにおける情報担体の候補として注目されている。スキルミオンはこれまで空間反転対称性の破れた結晶構造の下で安定化されることが知られてきた。一方、最近では空間反転対称性の保たれた希土類合金中で、従来と比べて一桁小さいナノサイズのスキルミオンが発見され、その起源として遍歴電子に由来する形成機構が新たに提案されている。
私たちは後者の形成機構が働くような新物質探索を進めており、最近、空間反転対称性を有する遍歴磁性体EuAl4においてナノサイズのスキルミオン格子状態を発見し、磁場や温度によってスキルミオン格子が正方格子、菱形格子と構造相転移することを見出した。これまでは結晶格子と同じ対称性を持つスキルミオン格子状態のみが観測されていたのに対し、今回の物質ではスキルミオンの配列の自由度があることが明らかとなった。本発表では、ナノサイズのスキルミオン格子の生成とその構造制御について議論するとともに、準安定スキルミオン格子の構造相転移に関する研究も紹介する。
(公開日: 2022年06月29日)