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木原工氏(元徳永研究室特任研究員)と小濱芳允氏(金道研究室特任助教)が第7回強磁場フォーラム三浦奨励賞を受賞

 国際超強磁場科学研究施設徳永研究室の木原工氏(現・東北大学金属材料研究所)と金道研究室の小濱芳允氏が第7回強磁場フォーラム三浦奨励賞を受賞しました。この賞は、日本における研究機関で、強磁場中における物性測定や強磁場発生に関する技術開発において、新しい着想で優れた成果をあげ、強磁場物性の発展に貢献した若手研究者を賞するものです。

 受賞対象となった研究は「高速温度計の開発とそれを用いたパルス強磁場下磁気熱量効果測定手法の確立(木原氏)」及び「上記温度計を用いたパルス強磁場下高速比熱測定手法の確立(小濱氏)」です。

 木原氏は、試料表面に薄膜抵抗温度計を直接作製することで、試料の温度変化に高速応答する温度計を実現しました。そして、金道研究室のパルス強磁場マグネットを使い、55Tの強磁場領域まで磁気熱量効果の直接測定に成功しました。この測定手法を用いたフラストレーション磁性体Gd3Ga5O12に対する研究で、極低温に潜む残留エントロピーの定量解析が可能なことを実証しました。小濱氏は、この手法を改良し高速比熱測定装置を開発しました。これによって、パルス強磁場下でもゼロ磁場とほとんど変わらない精度で比熱測定が可能になりました。更に、この手法を用い二本足スピンラダー系物質BiCu2PO6の磁気エントロピーを広い温度・磁場領域で定量解析し、この物質のもつ複雑な磁場誘起相転移に対し理論モデルとの詳細な比較を強磁場まで行いました。上記の実験手法は、今後、量子スピン系やフラストレーション系、超伝導体など様々な物質の強磁場物性に対する応用が期待されます。これらの研究成果が高く評価され、今回の受賞となりました。

 授賞式は2014年12月5日の第11回強磁場フォーラム総会にて行われました。

第7回強磁場フォーラム三浦奨励賞を受賞した
木原工氏(元徳永研究室特任研究員:左)と
小濱芳允氏(金道研究室特任助教:右)
(公開日: 2015年01月07日)