新物質科学研究部門の田山孝博士が第２回（2008年）日本物理学会若手奨励賞を受賞しました。本賞は学会の各専門領域における有望な若手研究者を奨励するもので、今回田山博士は強相関系分野である領域８での受賞となりました。受賞対象となったのは「極低温磁化測定による強相関ｆ電子系の研究」です。f電子化合物における重い電子状態や四極子転移などの研究は、現象の起こる温度が低いために100mK以下の極低温での実験を必要とします。しかし磁化測定に関しては技術的な問題のため容易ではありませんでした。田山氏はこれまで100mK以下の極低温で磁化測定を可能にする装置の開発と改良に携わり、この装置を用いて様々な強相関f電子系化合物の研究に成果をあげて来ました。その中で、PrPb₃の反強四極子転移の研究、重い電子系超伝導体CeCoIn₅の超伝導相図の研究、PrOs₄Sb₁₂の磁場誘起四極子転移の研究が高く評価され、この度受賞するに至りました。受賞記念講演は、本年３月、大阪で開催される日本物理学会年会にて行われる予定です。

http://div.jps.or.jp/wakate2008.htm