Home >  ニュース > 池田暁彦氏 (松田(康)研究室 助教)が「第5回SPring-8萌芽的研究アワード」を受賞

池田暁彦氏 (松田(康)研究室 助教)が「第5回SPring-8萌芽的研究アワード」を受賞

  SPring-8コンファレンス2014にて池田暁彦氏 (国際超強磁場科学研究施設 松田(康)研究室助教)が「第5回SPring-8萌芽的研究アワード」を受賞し、受賞講演を行いました。SPring-8では、萌芽的・独創的な研究課題やテーマを創出する可能性のある大学院生を支援する「萌芽的研究支援プログラム」を実施しています。本プログラムは、大学院生自らが実験責任者としてSPring-8を利用できる制度です。同賞は同プログラムにおいて優秀な成果を上げた学生(当時)を表彰するために設置されました。

  受賞対象となった発表のタイトルは「物理吸着クリプトン単原子層のメスバウアー分光:表面電場勾配のプローブとして」です。在来のメスバウアー分光法は固体中の原子が感じる磁場や電場勾配を評価することができます。一方で、放射性同位体線源を用いるために、固体表面の原子に対する測定感度がとても小さいという特徴がありました。池田氏は放射光核共鳴散乱法がメスバウアー分光法と同じ物理量を測定できる手法である点と、放射光を用いるために表面敏感な測定が可能である点に着目しました。さらにクリプトンの物理吸着層の性質(材質を選ばず多様な表面に非侵襲的に形成する)に着目し、クリプトン物理吸着層からの核共鳴散乱をプローブとして用いる表面の磁場・電場勾配の測定手法を確立することを目的として研究を行いました。本研究で、TiO2(110)表面上のクリプトンの単原子吸着層から、有意な強度の核共鳴散乱信号が得られることを初めて明らかにしました。この成果は、さらなる測定感度の向上によって、固体表面のメスバウアー分光が実現可能であることを示しています。本研究は東大生産研福谷研究室、KEK、JASRIの共同研究です。

右から三人目が池田氏
(公開日: 2014年03月12日)