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Anion doping into oxide thin films by topotactic synthesis

Date : Tuesday, January 13th, 2015 1:30 PM 〜 Place : Meeting Room 1 (A636), 6th Floor, ISSP Lecturer : Dr. Akira Chikamatsu Affiliation : Faculty of Science, the University of Tokyo Committee Chair : Hiroki Wadati (63400)
e-mail: wadati@issp.u-tokyo.ac.jp
Language in Speech : Japanese

銅酸化物の高温超伝導やマンガン酸化物の超巨大磁気抵抗に代表されるように、強相関電子系酸化物は元素をドープすることで物性が著しく変化する。その方法の中には、イオン半径の異なる元素をドープし化学圧力効果を変える方法や、価数の異なる元素をドープしキャリアを注入する方法があり、多くの研究が行われている。ところがこれらの研究はカチオンドープが圧倒的に多く、アニオン(水素、窒素やフッ素)ドープの例は少ない。これは、カチオンドープが固相合成で容易に出来るのに対して、アニオンドープは高温・高圧が必要であったり、有毒で扱いにくいアンモニアガスやフッ素ガスを必要とするなど技術的な困難を伴うからである。
 上記の問題をクリアした簡便なアニオンドープの方法として、有機合成に使われている反応剤を用いたトポタクティック合成法がある。トポタクティック合成とは、化合物の基本構造を反応前後で保ったまま元素を出入りさせられる合成法である。これまで我々は、酸化物薄膜にトポタクティック合成法を適用することで、様々な遷移金属酸水素化物・酸フッ化物薄膜の合成に成功した[1-6]。薄膜試料は体積が極めて小さいため、トポタクティック反応は表面のみならず試料全体で進行する。すなわち、バルク試料では反応が十分に進行せず合成が困難だった物質も、薄膜試料では合成できる可能性を秘めており、新物性の発現が期待できる。また、バルク体と比較してより低温でアニオンドープが進行したり、エピタキシャル応力を掛けられたりという薄膜ならではの特長も加えられる。本講演では、これまで行ったトポタクティック合成法による酸化物薄膜へのアニオンドープの結果を紹介し、見出した新物質に対する放射光を用いた研究展開について議論する。

[1] T. Katayama, A. Chikamatsu, et al., J. Phys. D: Appl. Phys. 47, 135304 (2014).
[2] T. Katayama, A. Chikamatsu, et al., J. Mater. Chem. C 2, 5350 (2014).
[3] T. Katayama, A. Chikamatsu, et al., J. Sol-Gel Sci. Tech. in press.
DOI:10.1007/s10971-014-3499-x
[4] 片山司,近松彰ほか,第75回応用物理学会秋季学術講演会,17p-A10-3 (2014).
[5] 小野塚智也,近松彰ほか,第75回応用物理学会秋季学術講演会,18p-A11-11(2014).
[6] 河原佳祐,近松彰ほか,第75回応用物理学会秋季学術講演会,18a-A11-7(2014).


(Published on: Monday November 17th, 2014)