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29th Lasor seminar

Date : Monday, January 19th, 2015 1:00 PM 〜 Place : Meeting Room 1 (A636), 6th Floor, ISSP Lecturer : Toru Hirahara Affiliation : Department of Physics, Tokyo Institute of Technology Committee Chair : Hiroshi WATANABE (63377)
e-mail: hwata@issp.u-tokyo.ac.jp
Language in Speech : Japanese

物質の表面には内部とは違った電子状態を持つ「表面状態」が存在し、興味深い性質を示す。特に表面では反転対称性の破れのために、スピン軌道相互作用が強い物質では非磁性体であってもスピン偏極したバンド構造を取ることが可能であり(表面ラシュバ効果)、近年多くの研究が行われてきた。また関連して、ここ数年トポロジカル絶縁体が脚光を浴び、そのスピン偏極したディラックコーンを持つ表面状態が多彩な分野の研究者の注目を集めてきた。さらに、物質を薄くしていくと究極的にはバルクと表面の区別がつかなくなり、グラフェンに代表されるように数原子層厚さの低次元ナノ構造体が示す特異な物性が明らかになりつつある。これらのナノ薄膜は、材料科学として高品質な物質を原子層レベルで制御しながら成長する方法を考案するという意味でも重要で、究極のナノテクノロジー・ナノサイエンスの舞台である。
本講演では表面・ナノ薄膜に関する我々の最近の研究を紹介する。特にこれらの低次元系の電子物性を議論する上で精密な構造解析が重要であるということを強調したい。具体的にはグラフェンのシリコン版であるシリセンの構造解析と電子物性[1]、ビスマス超薄膜の輸送特性や電子状態における表面状態や基板の役割[2,3]、さらにトポロジカル絶縁体/磁性絶縁体のヘテロ構造の電子状態に関して議論する。


(Published on: Thursday December 18th, 2014)