東京大学高輝度光源計画
加速器の概要

挿入光源の影響と補正

  挿入光源(ID)は直線部(透明部分)のみに挿入される。線形の効果のみを考慮に入れた場合、透明性を維持するように補正を行えば、設計粒子に対する対称性と透明性は完全に維持される。運動量のずれに対する対称性と透明性の応答が変化する為、ダイナミックアパーチャーは変動するが、大きく減ることはない。非線形の効果を考慮に入れた場合、透明性の破れがある程度までならば新たな共鳴線が励起されない為、ダイナミックアパーチャーに共鳴起因の影響は出ない。ただし、指数関数的に増大していく磁場を仮定しているため、振幅方向には現実のIDのギャップ(フィジカルアパーチャー)程度で落ちることとなる。
  水平偏光のIDに対しては、線形部分(垂直方向の集束力)のみを補正する。マッチングセクションの四極磁石により、直線部におけるチューンの進みを一定に保つように補正を行えば、透明性が維持され、ダイナミックアパーチャーはほとんど失われない。非線形力を考慮すると、極低エミッタンスモードにおいてはその影響はほとんど存在せず、低エミッタンスモードにおいては垂直方向のダイナミックアパーチャーが劇的に縮小するが、フィジカルアパーチャー(ギャップ間隔)と同程度は確保されている。
  円偏光のIDに対しては、水平、垂直結合は無視できるほど微小であり、水平偏光の場合と同様、線形部分(水平及び垂直方向の集束力)のみを補正すればよい。ビームトラッキングにおいても、線形部分のみを考えた場合、ダイナミックアパーチャーはほとんど失われない。非線形力を考慮に入れた場合、計算においては水平・垂直方向とも磁極が存在するとし、両方向とも指数関数的な磁場分布を仮定しているため、ダイナミックアパーチャーは縮小する。(現実のIDで磁極のない水平方向に対しては、磁場はずっと緩やかである。従って今後、より現実に近い磁場分布で計算を行えば、水平方向にはダイナミックアパーチャーは広がるだろうと思われる。)
  1.6GeVの場合、IDの磁場が同じ強さであれば、曲率半径は1GeVの場合の63%(=1/1.6)になり、影響は40%(=1/1.62)に小さくなる。

配置

定式化

Parameter Table1 (IDの強さ)

Parameter Table2 (IDの場所のトゥイスパラメーター)

Parameter Table3 (IDの影響)

U46L (ULEMLEM) / U80N (ULEMLEM) / U46N (ULEMLEM)

U52N (ULEMLEM) / U60N (ULEMLEM) / MPW (ULEMLEM)

U24S (ULEMLEM) / U26S (ULEMLEM)

U46Lの非線形チューンシフト
saw-tooth部分のビームサイズの干渉

円偏光アンジュレーターについて
磁場分布転送行列カップリング、U60C(ULEMLEM

以下は内部関係者向けの項目です。

  ラティスファイル(BPM、STR入り)
    saw-tooth なし ULEM : v29_05  LEM : v29_06d
    saw-tooth あり ULEM : v29_09  LEM : v29_10d
    U46L      ULEM : v29_11  LEM : v29_12d
    UMPW      ULEM : v29_13  LEM : v20_14d
    SX (U24S,U26S) ULEM : v29_15  LEM : v29_16d
    全て      ULEM : v29_23  LEM : v29_24d

  マッチングスクリプト
    U24SU26SU46LU46NU52NU60NU80NUMPW
    汎用
    必要なモジュール(modules3.nmodules8.nmodules9.n) 

  SADへの円偏光アンジュレーターの組み込み
    SADの変更箇所
    ラティスファイル
        ULEM : v29_33  LEM : v29_34d
         マッチングスクリプト U60C
    Lenear OPTICS マッチングルーチン(qkund.f)
        水平偏光垂直偏光円偏光
    Tracking ルーチン(tkund.f)
        水平偏光垂直偏光円偏光
    Emittance & Beamsize ルーチン(tkunde.f)
        円偏光


Updated on Wednesday,18,Jan.,2001

SOR施設加速器部門


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