物性研究所 低温液化室
Cryogenic Service Lab. ISSP
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ヘリウムガス回収技術情報

逆止弁・回収用ガスメータの設置方法

下図を参考にし、正しく回収用ガスメータ・逆止弁を設置してください。

ボール浮上型逆止弁・ガスメータ設置モデル図

ボール浮上型逆止弁は全てのサイズのガスメーターに使用できます。


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ダイアフラム式逆止弁・ガスメータ設置モデル図

ダイアフラム式逆止弁はサイズN6のガスメーターのみ使用できます。


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一般的な装置の回収技術情報

SQUID磁化測定装置のヘリウムガスの回収について

QuantunDesignのSQUID磁化測定装置は、通常ヘリウムガスを回収するようにはできていないので、きちんとヘリウムガスを回収できるように改良してください。

問題点

  1. 液体ヘリウムを補充するときに、保圧弁(1psi)をはずさなければできない。

  2. He供給口に保圧弁がついている→およそ1psiのガスが外に逃げる
  3. Heバスの蒸発分を回収できない。
    保圧弁が外に向いている(回収ラインにつながっていない)ので、自然蒸発しているガスを回収できない。

蒸発ガスの算定

  1. LHe充填時 フラッシュロスなどにより液体が蒸発する
    液量が約95%になる→1.4Lの液体がなくなる
    約1m3のガスが蒸発する
    週1回補充をすると約4m3/月のガスが蒸発する
    ※ 測定している場合は、補充回数が増える!?
  2. 自然蒸発分及びポンプの排気
    一日の蒸発量は、液体で4L程度(スタンバイモード)→1ヶ月 112L(液体)
    最低 78.4m3/月のガスが蒸発することになる。
    ※ 測定している場合には、更に増加。ちなみに、磁場依存性の測定の場合、1週間で60L(液体)くらい蒸発するときもある。

供給口の変更案

Heバスの内圧を抜いてからトランスファーチューブを挿入でき、自然蒸発分も回収できるようにLHe供給口を改良する。また、ポンプの排気は、ほとんどHeなので、これも回収する。

LHeの供給口に直接保圧弁をつけるのではなく、概念図のようにするといいと考えます。実際にこのような回収システムで正常に稼働しています。

概念図

LHe供給口

見本1

見本2

ヘリウムを使用する際の注意点

実験装置に液体ヘリウムを移送するときに、トランスファーチューブを予冷し、そのガスを大気に逃がしている人がいるという声を聞きます。装置内の液体ヘリウムを蒸発させたくないからだと思いますが、予冷しないでトランスファーしても大して蒸発しません。また、液体ヘリウムを使用していないのにただとばすだけでは勿体ないと思うかもしれませんが、ヘリウムを大気に逃すことで回収率が悪くなり、ひいては液体ヘリウム単価が上がることになります。以下の点に注意し液体ヘリウムを上手に使用してください。

実験装置に液体ヘリウムを移送するとき

  1. トランスファーチューブを予冷する際には、必ずトランスファーチューブの先端を回収ラインもしくはガスバックなどにつなぎ、ヘリウムガスを回収すること
  2. トランスファーチューブを予冷しないで使用する
    1. ゆっくりトランスファーすれば、装置内の液体ヘリウムが少し蒸発する程度で特に問題はありません。
    2. トランスファーチューブ先端を改造して、下に吹き出すことの無いようにすると、装置内の液体ヘリウムを蒸発させることなく移送できる。

ヘリウムガスの回収口について

  1. ヘリウムガス回収口を複数に分岐するとき、もしくは複数の装置を接続するときは、逆止弁などを使って、装置などにヘリウムガスが逆流するのを防ぐ等の措置を講じる。

ヘリウムの回収純度について

 回収しているヘリウムガスの純度が悪い場合には、液化機やその他の機器にとって非常に悪影響を及ぼします。 従って、回収ガスの純度は、液化室側で各建物ごとに測定していますが、各研究室でも注意するようお願いします。 また、減圧して実験している場合にはポンプ等のオイルや空気が入り込む可能性が高いので 特にご注意下さい。

 回収配管、実験装置、減圧用ポンプの出口などに、ヘリウムガス純度計を取り付けることで、 回収ガスの純度を測定することはできます。一般的な純度計では非常に高価なので、 研究室の回収口事に純度計を取り付けることは難しいのですが、東京大学低温センターで 開発した簡易型の純度計は安価なので、それが可能です。

 また、研究室から、純度計を取り付けたいのだが、液化室でまとめて購入(更に安価に)する事は できないのかという要望の声もあり、実際に購入を考えている研究室がどれだけあるのかということを 調査するためにアンケートを実施しました。またその結果、液化室にて大量発注し、純度計を購入する ことにしました。それぞれ、アンケート結果、純度計の購入に関しては以下に詳細を記載していますので ご覧下さい。

  1. 回収ガスの純度に関するアンケート結果
  2. ヘリウムガス純度計の購入について

液体ヘリウムの研究室内での管理について

研究室内の液体ヘリウムを管理するには、容器内にある液体ヘリウムの量を常に把握しておく必要があります。使用する人が、使用前、使用後に液量を計測して記録し、常に液量を把握しておけば、トランスファーしすぎて空にして容器を暖めてしまう等のトラブルを避けることもできます。

研究室内でも簡単に容器内のヘリウムの量を計測する方法としては、気柱振動液面計があります。以下に気柱振動液面計の図面と容器の在庫を記録しておくメモ用紙を用意しましたので、ヘリウム容器の管理に活用してください。

気柱振動液面計の図面 その1 ~旋盤を使える方~


クリックするとpdfファイルが開きます。

この気柱振動液面計の上部部品に3mmのパイプを銀蝋付けして使用します。
パイプには液面をマークするためのo-ring(I.D. 3mm以下)を二個通しておきます。

使用方法

気柱振動液面計の図面 その2 ~旋盤なんて無理・・・という方~

旋盤なんて使ったことも見た事もないし、加工屋さんに頼むほどでもないし、、、と思うあなたに朗報です!!
スウェジロックのSS-3M0-7-4RGを利用すれば簡易的な気柱液面計ができます。



SS-3M0-7-4RG
スウェジロック SS-3M0-7-4RG

スウェジロックのSS-3M0-7-4RGに3mmのステンレスパイプを差し込み、締め込んで完成です。
パイプの長さは、以下参照。

SS-3M0-7-4RG
差し込み部

SS-3M0-7-4RG
全体写真

パイプには液面をマークするためのo-ring(I.D. 3mm以下)を二個通しておきます。
使用方法は普通の気柱液面計と全く同じです。

使用方法

容器液量メモ用紙

エクセル版とpdf版を用意しました。ダウンロードしてお使いください。
容器液量メモ用紙(エクセル版)
容器液量メモ用紙(pdf版)

液体ヘリウム容器に使用しているカプラについて

柏キャンパスで使用している液体ヘリウム容器のコネクタは、「日東工器」の「SPカプラ タイプA」を使用しています。
品番はプラグ側が BSBM 2P-A ,ソケット側が BSBM 2S-A になります。
アダプタを介して1/2バルブに取り付けていります。

仕様詳細

使用上の注意点、その他