2004−2005年度版へ

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Synchrotron Radiation Laboratory,
Institute for Solid State Physics,
The University of Tokyo,
5-1-5
kashiwa-no-ha,
Kashiwa, Chiba
277-8581, Japan

 



                               会長あいさつ
                                                   東京大学物性研究所 辛 埴

 このたび、大門寛会長の後を受けて、今年度から2年間、VUV・SX高輝度 光源利用者懇談会

の会長を勤めさせていただくことになりました。大変難しい時期に会長になりましたが、私なりに

精一杯努力しますのでよろしくお願いいたします。

 第3世代の軟X線・真空紫外高輝度光源の必要性が叫ばれていながら、東京大学は同計画の

中止を決めました。この件に関する詳しい説明は、このニュースレター中に柿崎施設長から説明が

あります。大変残念ですが、個人的にはこの件に対する東京大学小宮山総長の勇気ある決定を感

謝したいと思います。やむを得ない周囲の諸事情にもかかわらず、計画の推進をこれ以上続けること

は科学の発展に取って実りある事とは思えません。物性研究所を中心とした第3世代の軟X線高輝度

光源の建設計画は既に10年以上も続けており、この分野の多くの研究者は個人的な研究を犠牲に

して計画の推進に捧げてまいりました。そのために、軟X線・真空紫外科学の疲弊は、この間、かなり

進んでいます。サイエンスを発展させるために始めた高輝度光源計画が、この分野のサイエンスを一

時的にも停滞させてしまったことに歴史の皮肉を感じます。
 
  真空紫外・軟X線領域の科学では、海外に大きく遅れは取っているものの、一部の分野では海外に

比べても著しく進んでいる分野があります。例えば、高分解能光電子分光や軟X線・硬X線光電子分光

の分野は日本が非常に進んでいます。これは、日本におけるサイエンスの底力を表しています。既存の

放射光施設や真空紫外レーザーなどをうまく利用しさえすれば、海外を圧倒するサイエンスを達成するこ

とができるのです。

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