2005年4月までの変更点 C1-1 HER
2004年度3月までに、これまで使用されてきたタイアン及び理学のインターフェースの使用を終了し、テクノAP製によるLavVIEWベースの新しいインターフェースに変更されました。
分光器によって多少の違いはありますが、基本的に物性研の3軸分光器はほぼ同じハードウェア、同じソフトウェアによって分光器を制御することになり、ユーザーの方に熟練を強いてきた分光器の個体差が大分小さくなりました。
上記インターフェースの更新に伴って、一部のモーター及びそのドライバーも交換や新設が行われました。背の高いラックが2つになりその中にTemconも収められています。
1, ハードリミットの位置を変更しないこと。
以前のタイアンインターフェースでは、軸が1回転以上した場合でも、エンコーダーの切り替わりが見かけ上ないような設計になっておりましたが、新インターフェースではそうなっていません。現在ハードリミットにて、この切り替わりの部分に分光器が移動しないような設定になっています。
そのため、ユーザーの方がハードリミットの位置を変更することはできません。分光器が暴走する可能性があります。どうしても必要な場合には、装置責任者までご相談下さい。
2, Filmanより、サンプルテーブル上の4軸の制御が可能。
サンプルテーブル上の4軸がモーター制御となり、「RX」「XS」「RY」「YS」のニーモニックで操作できます。
3, Attenuator2枚(6mmと3mm)が試料より上流に新設され、LabVIEW画面にて選択可。
Attenuator2枚がの出し入れが、コントロールPC上のLabVIEWのプログラムで行います。1枚のみもしくは2枚とものパターンが選択できます。
「3mm」, 「6mm」のボタンを押すと、エア駆動の音ともにAttenuatorが挿入され、ボタンが緑色に変化します。
(左図)「beam shutter_attenuater.vi」の画面と(右図)新設された電動Attenuatorと電動ナローアー
4, 第2コリメーターは、LabVIEW画面にて選択可。(C1-1のみ)
第2コリメーター(10', 20', Open)の選択は、コントロールPC上のLabVIEWのプログラムで行います。現在のコリメーターは、「Current
Setting」で確認できます。
コリメーターを変更する場合には、円中の小さな丸をクリックして、希望するコリメーターにドラッグして下さい。その後、「MOVE」ボタンを押して下さい。移動中は「Moving」が緑色に点灯し、移動後に「Move Completes」が点灯します。
「collimator Selection Main.vi」の画面。
5, ナローアーがモーター制御に、LabVIEW画面にて操作可。また、Filmanからの制御も可能。
試料前後ろの2つのナローアーが合計8個のモーター制御になり、コントロールPC上のLabVIEW画面にて変更可能になりました。また、左右の方向は、試料の位置からそれぞれのナローアーを見たときの「左」「右」が、プログラム中の「Left」「Right」に相当します。
左右上下ともにもっとも大きく開いた状態(40mm×40mm)にハードリミットがあり、各軸ゼロと定義されます。また、リミットに当たっていない状態からリミットに当てたときに、ゼロになるようにプログラムされています。
また、左右及び上下のナローアーはソフトウェア的に1mmの間隔のときに停止するようにプログラムされています。
「beam narrower1 main.vi」(上流側)と「beam
narrower2 main.vi」(下流側)の画面。
また、Filmanからナローアーの制御が可能で、通常にスキャンもできます。上下左右の順番で、試料前のナローアーは「IT」「IB」「IL」「IR」、後ろのナローアーは「OT」「OB」「OL」「OR」と定義されるニーモニックで操作できます。上記のLabVIEWプログラムと異なり、「原点でリセットされないこと」、「左右及び上下のナローアーが衝突する可能性がること」に注意して操作してください。
6, 「ZR」コマンドによるオフセット表示が、ほぼゼロに変更。
flmmの「ZR」コマンドで分光器のオフセットの表示されますが、現在全軸ほぼゼロになるように設定され、以前と異なる値になっています。ゼロより大きく異なる値が表示された場合には、分光器になんらかの異常があると考えるべきです。
7, 分光器の停止方法について
1、「@」を入力する。
それがだめなら
2、ラックの丸い「非常停止」ボタンを押す。(注1)
それがだめなら
3、ラックの下部にある100Vの電源を切る。(注2)
(注1)非常停止ボタンの解除は、時計方向に回転させる。
(注2)100Vの電源を切ることは、駆動するモーターの電源を切ることに対応する。しばらく待った後電源を入れ、
コントロールPC上の"Filman
Interface Main"を再起動する。停止ボタンを押した後、プログラム再スタート。)
「Filman Interface Main.vi」の画面。
8, 分光器の動作がおかしい時の対処方法
・カウンター(C2000)が動作しない時、
1、「Filman Interface Main.vi」中の「serial
buffer clear」ボタンを押す。
2、それでもダメな場合には、右ラック最上部の「SW5」をON/OFFする。
・モーターがハードリミットに当たり動かなくなった時、
1、ラック下部の100Vの電源を切り、モーターの電源を落とす。
2、 その後、100Vの電源を入れ、コントロールPC上の"Filman
Interface Main"を再起動する。(停止ボタンを押した後、プログラム再スタート。)
3、その後、現在角をquコマンドで確認した後、mvコマンドでリミット位置より移動させる。
・Filmanがコアダンプして終了した時。
1、コントロールPC上の"Filman Interface
Main"を再起動する。
2、「flmm」を再起動する。
9, その他
・「flmm」から「@」ボタンを押したときに、分光器はすぐ停止しますが、エアは3秒後に止まるため、以前よりも反応が遅く感じられます。
・分光器の移動の際には、いかなる移動の場合でも、3つのテーブルともエア浮上します。
・モーターが駆動した際、以前は、駆動範囲の大きさによって2種の速度(高速モード、低速モード)がありましたが、現時点では1種類です。
・(C1-1のみ)A2の角度は、以前130度強まで移動可能でしたが、現時点では124度程度までしか駆動しません。
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都立大学の神木教授のグループと共同で横集光アナライザーが新設されました。縦横7×7枚のPGによって構成され、固定エネルギーが可変となります。現在、PGのテスト、一部のメカのテストが終了し、もう少しテストが必要です。楽観的な見通しだと6月のサイクルより使用予定です。
(6月22日加筆)6月13日の週に、ビームをあててチェックしました。ヴァナジウムの非干渉性散乱によると、これまでのアナライザーに比べて、強度が12倍になりました。但し、メカに一部修正すべき箇所が見つかりましたので、6月末から7月上旬のテストの後、もう一度、業者に返送する予定です。
2005年3月、物性研全ての三軸分光器にホイストクレーンが設置されました。サンプルテーブルへ冷凍機を載せる際などにご利用下さい。
・ C1-1のクレーンは、モノクロ上部に設置され、その中心より分光器側で、約180度弱の範囲で移動可能です。
・ クレーンの中心直下に固定用のハンドルねじがあり、クレーンを移動させる場合にはそのねじを緩めればよい。使用後は、適宜ねじを締めてクレーンを固定して下さい。
・ クレーンの土台はステンレス製であるが、チェーン及びチェーンブロックが磁性体であるため、磁場実験の際にはチェーンを固定する等の注意が必要である。
・ チェーンブロックの最大積載量は250kgである。
・ チェーンに油がついているので、手袋をして使用したほうがよい。
・(6/22)クレーンの使用後は、もっとも下流がわの位置でクレーンを固定して下さい。そうでないと、Webカメラのプリセット位置が有効でなくなります。
2004年後半に、Beフィルター冷却用のCTIが不調で、低温から50K付近をふらつくことがありました。そこで、2005年3月までにコールドヘッドを交換し、定常的に10Kの温度を維持しております。(6/22)コンプレッサーもオーバーホール済みでした。
ズーム機能をもったPanasonic製BB-HCM381のWebカメラがC1-1のクレーン上部に設置されました。
(4/14)これまで高真空装置にひとつウェブカメラがありましたが、これに加えて2台大勢でC1-1を監視できます。尚、IPアドレスは、
133.53.112.155 です。
(4/15)幾つかのポイントをプリセットしてあります。マルチ画面を選択すると、2つのカメラで同時に監視できます。
(6/22)クレーンの使用後は、もっとも下流がわの位置でクレーンを固定して下さい。そうでないと、上記プリセットが有効でなくなります。
・C1-1にあったLP1700はお蔵入りとなり、新たにOfficejet7210が新設(IP:133.53.112.168)されました。これは複合機で、コピー及びスキャン機能を持っていますので、現時点では、PCのみより印刷、スキャンが可能です。
・MacMiniがようやく入荷しました。セットアップ後、これまでのeMacと交換する予定です。
・ラック内のノートパソコンで Temcon が動きます。
注1、最初ヒーターがかからない場合は、設定ファイルをstandard2.crpに変更すればよいです。
注2、gotsコマンドを使うときは、Temcon側の設定も忘れずに。
注3、外部よりVNCにて画面エミュレートできます。(IP:
133.53.112.134)
Linux版FILMANでのフィルターの取り扱い:(6/22一部修正)
C1-1のフィルターは、冷却されたBeフィルターと回転型のPGフィルタ-の複合型で、入射エネルギーによってプログラムより自動的に選択したり、あるフィルターに固定することができます。
旧PC98上で動いていた、「TESTC1」「FLMM」のプログラムは、Linux版では一つのプログラム「flmm」に統合されました。「flmm」(小文字で入力して下さい。)起動時は、フィルターをプログラムから制御しないモードになっています。また、以下がフィルター関係のコマンドです。
fa (フィルターをFILMANから制御するモードに変更)
ff (現状のフィルターに固定し、FILMANから制御しないモード)
fi (フィルターの状態を調べる)
fi1 (faモードにて、BeFilterに移動)
fi2 (faモードにて、No Filterに移動)
fi3 (faモードにて、PG Filterに移動)
ff1 (faモードにて、BeFilterに移動し固定)
ff2 (faモードにて、No Filterに移動し固定)
ff3 (faモードにて、PG Filterに移動し固定)
2005年4月時点では、以前の手動スイッチはありません。FILMANからのコマンドによる切り替えのみです。
フィルターが上下しているときに「@」を押して非常停止しないで下さい。