東京大学 物性研究所
中性子科学研究施設
熱・偏極中性子3軸型分光器PONTA
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偏極中性子手順(SPICE使用)
- サンプルの準備
縦磁場マグネット使用時の注意
現在、縦磁場マグネットの偏極実験用のスペーサー(メタル)は非偏極実験用のスペーサー(青色)より10mm低くなっています。これは、マグネットの一番偏極率が大きくなる所を中性子が通る様にする為です。この為、縦磁場マグネットを使用する偏極実験ではサンプルを10mm上げなければいけません。試料位置を通常より10mm高くした試料を用意してください。なお、ヘルムホルツコイルを使用する方は通常の試料位置で結構です。
- フリッパー準備
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コリメーターの後の遮蔽ガイドを抜き、ポリエチレンの枠を入れる。
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スピンフリッパー、ガイド磁場用コイルを3階から降ろし、スピンフリッパーの端子にはモノクロドラム近くに巻いてある電源ケーブルを接続する。ガイド磁場用コイルには備え付けの電源を接続する。
- 分光器の準備
- drive mono 0と入力しモノクロメーターをホイスラーに変更する。
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フィッションカウンターをNo.1からHT-6に変更する。フィッションカウンター交換手順を参照のこと。
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必要に応じてアナライザーをホイスラーに変更する。ホイスラーアナライザーは強力な磁石なので、運ぶ際、財布、カードなどは外した方がよい。
縦磁場マグネット使用の場合
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マグネットを使う時はサンプルステージレールに1mのextensionをつけ、モノクロドラムからサンプルステージを90~100cm程度離す。サンプルステージ下のメジャーを参照のこと。また長めの光学ベンチに交換します。
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アナライザーステージは短いextensionをつけ、目一杯下げます。
- ビーム調整
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kiをflipping ratioが高くなる値を選んで変更する。フリッピングratioを参照のこと。
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C-2000にモニター用のパルハイからのシグナルを入れ、C1をモニター値で最適化する。
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Setupタブ-Experimentタブにて緑色のMonitoring...Click to allow changesボタンを押しモノクロパラメーターの変更を行う。モノクロの変更はWhich Monochromatorにて行う。また、Ei、Ef fixモードの選択、固定するエネルギーの入力も合わせて行う。入力後に水色のUpdate parametersボタンを押して入力情報を確定させる。
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(Heuslerアナライザーに交換する場合)Vanadium等を用いてアナライザーの角度(C3,A3)を最適化する。
- drive flip onでフリッパーON、drive flip offでフリッパーOFF。
- フリッパーをONにする。Vertical Coil、Horizaontal Coilに電流を流す。凡その電流値は波長で決まるので、logブックを参照し、過去の実験の値を使ってみる。線のつなぎ方、マグネットの漏れ磁場などにより、正負が逆になることもある。
- Setupタブ-Hardwareタブ-Polarize DeviceタブにてVertical Coil、Horizontal Coilに流す電流を制御できる機能を追加しました。(2007/5/1)電流値を入れ、Setボタンを押すと電流が流れます。実際の電流値はOutputの項に表示されます。ただし、Horizontal Coilの方はフリッパーをONにしていないと流れません。
- 4G,5G共同ツールボックスのテスタの棚にあるGAUSS METERを用いてガイド磁場に切れ目、反転する箇所が無いかチェックする。数Gauss程度でも切れていなければよい。切れると中性子がdepolarizeしてflipping ratioが悪くなる。ガイド磁場に切れ目がある場合、6Gにあるガイド磁場用マグネットを6G使用者にことわってから借用する。縦磁場マグネット使用時の場合)マグネットの磁場を大きくするとflipping ratioが上がる事がある。
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ダイレクトビームを用いてflipping ratioが大きくなる電流値を探す。Vertical Coilが先。
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試料のBragg反射でのflipping ratio(通常、ダイレクトビームでの値より良くなる)を測定する。
- logにダイレクトビーム、Bragg反射でのflipping ratioとVertical CoilとHorizontal Coilの電流値を記録する。
- SPICEの偏極実験モード
- FILMANと異なり特に偏極実験モードはありませんが、フリッパーのON/OFF、ヘルムホルツコイルの自動制御をスキャン中に行う場合はscanの代わりにscanpolを使用してください。
- scanpolで用いられるパラメーターはSetupタブ-Hardwareタブ-Polarize Deviceタブにて行います。
Spin Flipper
- スピンフリッパー電流値の制御、表示。Set valueに電流値を入力し、Setボタンを押すと電流が流れます。1秒おきにモニターしている実際の電流値がOutputに表示されます。
- FLIPボタン。Spin Flipper ON時に点灯します。
- Scan Flip。scanpol使用時のフリッパーモードの選択をします。モードをactiveにするとフリッパーON、OFFでそれぞれカウントを取り、それらの値と差を表示します。deactiveではこれらの動作をせず、スキャン前のフリッパーの状態でカウントします。この項目を変更する場合は画面中央にある緑色のMonitoring...Click to allow changesボタンを押し、変更後に水色のUpdate Parametersボタンを押し、変更を確定します。
Helmholtz Coilパラメーター
- ヘルムホルツコイルには散乱面内に磁場をかける3つのコイル(Helm1,2,3)
、および散乱面と垂直に磁場をかけるコイル(HelmV)の4つのコイルがあります。
- Qベクトルに対して平行な磁場成分(Qpara)、散乱面内でかつQベクトルに対して垂直な磁場成分(Qperp)、散乱面に垂直な磁場成分(Vertical)の出力を%で入力します。
- Helm1,2,3,の3つのコイルの出力のどれかがゼロとなる状況は磁場が正確に向かない可能性があります。この状況を避ける為に、Helm1,2,3にオフセット出力(Background)を程度かけます。(通常~10%)
- ヘルムホルツコイルの支柱がビームパスを横切るような時は、ヘルムホルツコイルを回転させ、その角度をオフセット角αに入力します。角度は時計方向に回る方向が正です。
- control modeをautoにするとscanpol使用時に角度移動終了後、その位置のEi、Ef、A2(sample 2theta)を用いて出力値を計算し、磁場を自動で変化させます。
Helmholtz Coil ouput calculation
- 現在のEi、Ef、A2(サンプル2theta)と上記のヘルムホルツコイルパラメーターを用いて、Helm1(coil1)、Helm2(coil2)、Helm3(coil3)、HelmV(coil_V)にかける出力を計算します。
- ArgはCoil1と2の支柱(通常ダイレクトビーム下流の支柱)からの磁場方向の角度(時計方向が正)を示しています。
- Apply outputボタンでこの計算された出力値で定電流電源を制御します。Voltage Zeroボタンで全ての出力をゼロに戻します。
Edited by M.Matsuura; Updated 2007-04-30;