箕面石

 

No. IMA2012-035  

箕面石 /Minohlite

(Cu,Zn)7(SO4)2(OH)10・8H2O

Hexagonal or Trigonal

Chemically related to schulenbergite

大阪府箕面市平尾

Ohnishi M., Shimobayashi N., Nishio-Hamane D., Shinoda K., Momma K., Ikeda T. (2013) Mineralogical Magazine, 77, 335-342

Fig. 1. 箕面石(緑)を含む鉱石(左右1cm)。白は菱亜鉛鉱+緑泥石,褐色は黄銅鉱

 

Fig. 2. 箕面石が点在している箇所。

 

Fig.3. 箕面石のロゼット状集合

 

Fig.4. 箕面石のロゼットその2

Fig.5. こいつは同産地のシューレンベルグ石。箕面石とものすごくよく似ているけど,こっちのほうがちょっと色が淡くてちょっとペラいんです。わかりますか?

 

大阪府箕面市から発見された新鉱物「箕面石/Minohlite」。大阪府からの新鉱物としては2例目となるアップルグリーンのきれいな鉱物だ。大阪初の新鉱物は「大阪石/osakaite」で,これも大西氏が発見し研究も筆頭でとりまとめている。鉱物の学名は最後に「ite」もしくは「lite」をつけることになっている。これはラテン語で「石」という意味から来ており,どっちをつけるかはほとんど好みだけの問題です。日本産では昔は「lite」が多かったけど最近は「ite」が多い,世界の傾向もそうだね。今回,箕面石には「lite」をつけた。

箕面石や大阪石のような鉱物はいわゆる二次鉱物に分類される。元々あった鉱物が水や空気やなんやかやと反応して別種に変わったものを指すが,何回変わっても二次と言う。幾度の反応を経由したことがわかっていても三次鉱物,四次鉱物とは言わない。「二番目」ということではなく,「派生的な」という意味でとらえるとちょうど良いだろう。箕面石の場合は,黄銅鉱や閃亜鉛鉱が分解してできたと推測される。

鉱物」の定義をざっくり言うと「質学的作用で生じる体物質」となる。一方で,二次鉱物は鉱山跡:人間が掘った坑道や石捨て場(ズリ)で生じることがしばしばある。そのような人の手が加わったところで生じる二次鉱物は果たして「天然」という条件を満たすか?という疑問は素直な感覚だと思う。それでも二次鉱物は鉱物として扱われる。人間が掘ったからこそ生じたモノであっても,人間が掘った後に進行した作用は天然の地質学的作用であるからOKという扱いである。

「天然」をどこまで適用するのかは難しいのだけれども,「からみ」から派生したモノはアウト。「からみ」とは鉱石から必要なモノを取り出した後の搾り滓のことで,鉱山跡にはよく放置されている。石垣に使われることもある。で,その「からみ」が変質を受けて何らかの派生的な物質を生み出すことがしばしばある。たとえば海岸に放置された銅鉱石の「からみ」をたたき割るとその空隙には緑鮮やかな(パラ)アタカマ石が見事に結晶化している。しかしこれは鉱物としては認められない。世界初の物質であっても「からみ」中のモノは鉱物としての資格がない。その理由は,「からみ」は元素を濃集させる作用を「人工的」に行っているから。ただ,「からみ」中には非常に珍しいモノが結晶化していることもあるので,採集のターゲットとしては結構おもしろい。

今回の箕面石は鉱山の堀跡から採集された二次鉱物である。白色の母岩は主には菱亜鉛鉱と緑泥石(シャモス石)の混合体であり,黄銅鉱がちらほらと見える。箕面石はアップルグリーンの皮膜状や粒状で母岩の上にちょこんと乗っている。粒のサイズは100ミクロンくらいあるので,ルーペ無しでもなんとか視認はできる。20倍くらいのルーペでがんばれば鱗片状の組織が見えるかもしれない。また,サーピエリ石やラムスベック石が箕面石の粒集合の中にポツンといたりする。全体的には白地の母岩にアップルグリーンの箕面石ばかりという産状なので,鑑定はそれほど難しく無いように思えるが,同様の産状のシューレンベルグ石(Fig.5)と並べられたら私には鑑定は難しい。組成的にも構造的に関連が疑われるので当然だが,箕面石の方がわずかに緑色が強いので,それがポイントになると思う。それにシューレンベルグ石のほうがほんのちょっとだけペラいのです,わかりますか?それにしても大西君はよくもまあこの二つが違う鉱物だと気づいたものだ。

 Posted by at 9:46 AM

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