桃井石榴石

 

No. IMA2009-026 

桃井石榴石 / Momoiite

(Mn,Ca)3(V,Al)2Si3O12

Cubic

Garnet group

愛媛県丹原町鞍瀬鉱山

Tanaka H., Endo S., Minakawa T., Enami M., Nishio-Hamane D., Miura H., Hagiwara A. (2010), JMPS, 105, 92.

Fig.1. 鞍瀬鉱山の鉱石(研磨面)

 

Fig2. 桃井石榴石(破断面)。淡褐色部はやや風化したテフロ石。

愛媛大と名古屋大の学生が中心となって発見されたガーネットの新種である。愛媛大チームと名古屋大チームがそれぞれ別産地から発見していたので,共同研究という形でとりまとめ,申請を行った。模式地は鞍瀬鉱山であるが,京都府法花寺野鉱山と福井県藤井鉱山からも発見されており,論文公表の際は上記すべての産地の組成データを提出した。岩手県田野畑鉱山からも報告がある(Matsubara et al., 2010, Bull. Natl. Mus. Nat. Sci, Ser. C, 36, 1-6)。

桃井石榴石/momoiiteはしばしばゴールドマン石榴石/goldmaniteと固溶体を形成する。日本では,鹿児島県大和鉱山からこの中間組成的なガーネットが見つかった(Momoi 1964, Mem. Fac. Kyushu Univ., Ser. D, Geology, 15, 73-78)。後に愛媛大教授となる桃井斉によって研究されたこのガーネットは「大和石榴石/yamatoite」として新鉱物申請された。結局この申請はリジェクトされてしまい,「yamatoite」は仮想端成分としての扱いとなった。このガーネットの再発見は皆川によって鞍瀬鉱山からからだった。このときもやはりyamatoiteとして報告している(桃井先生が共著者だからかもしれないが)。

そういういきさつと桃井先生の思いがあったので今回の申請にも最初は「yamatoite」を考えていたが,最終的には桃井先生の業績をたたえてMomoiiteと命名することになった。この鉱物はガーネットなので和名では桃井石榴石(モモイザクロイシ)となる。

非金属の鉱物の和名は「~石」となるのが通常である。そして,この「石」は「セキ」と読むということは実は意外に知られていない。多くのひとは「イシ」と読む。職場の人に説明するときに,「それはセキと読むんだよ。鉱物学の基本ですな。」などと言っていたが,ガーネットは違うことを忘れてた。ガーネットグループに属する鉱物の和名は「~石榴石」となり,こいつはザクロ「イシ」と読む。

桃井石榴石は緑色が美しいガーネットであるが,緑色部がかならず桃井石榴石という訳ではない。むしろ桃井石榴石は少数派で,ほとんどはゴールドマン石榴石もしくはマンバン石榴石である。鑑定のポイントは色の濃さと産状。経験的だが,緑色が濃いものやテフロ石中にくるものは桃井石榴石を含んでいる確率が高い。Fig.2のような産状だとほぼ確実に桃井石榴石が含まれているので,こういう標本には積極的にラベルをつけてあげよう。ごくまれにヴォーレライネン石がともなわれるが,鉱石中の黒いつぶつぶは99%以上が石墨である。それ故に,黒いつぶつぶが伴われているから桃井石榴石ということにはならないし,その逆もまたしかりなので注意が必要。この産地でヴォーレライネン石が肉眼で鑑定できるということはまずありえないはずだが,そう思うのは自由である。

 Posted by at 12:09 AM

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