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2019年度 第1回 | 強磁場物性への二つの新しい試み:ランダウ準位と磁気抵抗

日程 : 2019年10月21日(月) 2:00 pm 〜 場所 : 物性研究所本館6階 第2セミナー室 (A612) 講師 : 伏屋 雄紀 氏 所属 : 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 世話人 : 徳永 将史 (65322)
e-mail: tokunaga@issp.u-tokyo.ac.jp

スピン軌道結合やトポロジカル物質の研究が進むにつれ,強磁場物性研究の新たな側面が見え始めている.強磁場中で遍歴電子のエネルギーが量子化されることは周知の事実である.しかし少々意外なことに,物質毎に異なる量子化を微視的かつ量子的(第一原理的)に計算する手立てがこれまでなかった.特に,スピン軌道結合に由来する大きなスピン分裂を理論的に算出することは全くできずにいた.この問題に対し,我々はk.p理論と行列力学を組み合わせることで,第一原理的にランダウ準位を(スピン分裂を含めて)計算できる新しい理論手法を開発したので,これを紹介する[1].

磁気抵抗は古くから知られる現象で,よく分かっている現象と思われがちである.しかし,ビスマスの(擬)線形磁気抵抗(1928年発見)は未だ完全な理解に至っておらず,最近ではトポロジカル物質を含む様々な系で線形磁気抵抗や負の縦磁気抵抗が観測され,その機序について活発に議論されている.この問題に対し我々は,まず(半)古典論に基づいて,実験のどこまでを説明でき,どこからが説明できないか,その境界を明確にする研究を行ってきた.セミナーでは,そのいくつかの事例を紹介する[2-4].

[1] Y. Izaki & YF, arXiv: 1907.02254, to be published in PRL.
[2] A. Collaudin, B. Fauque, YF, W. Kang, K. Behnia, PRX, 5, 021022 (2015)
[3] M. Owada, Y. Awashima, YF, JPCM, 30, 445601 (2018)
[4] Y. Awashima, YF, JPCM, 31, 29LT01 (2019)


(公開日: 2019年09月26日)