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【MDCL合同セミナー】ニ次元非平衡定常系における連続対称性の破れと相転移

日程 : 2023年1月13日(金) 4:00 pm - 5:00 pm 場所 : 物性研究所本館6階 大講義室(A632)とオンライン(Zoom)のハイブリッド形式 講師 : 中野 裕義 所属 : 東京大学物性研究所 世話人 : 野口 博司 (63265)
e-mail: noguchi@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

短距離相互作用する二次元平衡系において、連続対称性の自発的破れと結びつく相転移は禁止されている。この結果はマーミン・ワグナーの定理と呼ばれ、ハイゼンベルグスピン系や固体結晶のような幅広い平衡系に対して成立する。
平衡状態を離れ、非平衡定常状態に注目する時、マーミン・ワグナーの定理の対応物は知られていない。さらに、Vicsekモデルのような群れ現象を記述する非平衡モデルにおいて、連続対称性の自発的破れと結びつく長距離秩序が二次元系でも安定に存在できることが90年代から知られていた。この結果は、非平衡系では平衡系ほど強く二次元長距離秩序が制限されていないことを示唆している。

講演者は最近、一様せん断流下にある二次元O(2)モデルの数値的・理論的解析を行い、このモデルが二次元系であってもO(2)対称性の自発的破れと結びつく長距離秩序を持つことを示した[1,2]。このモデルはせん断流を小さくしていくことで平衡系に漸近する。Vicsekモデルのような群れ現象のモデルは平衡極限を持たない。この点で本モデルは非平衡系における連続対称性の破れの起源に関して、見通しの良い議論を行うことができる。
本講演では、Vicsekモデルのような非平衡系で連続対称性の破れが起こるモデルを簡単にレビューし、そのあとで講演者が得た一様せん断流下にある二次元O(2)モデルの数値解析の結果をまとめながら、連続対称性の破れの起源を議論する[3]。

[1] H. Nakano, Y. Minami, and S. Sasa, Long-Range Phase Order in Two Dimensions under Shear Flow, Phys. Rev. Lett. 126, 160604 (2021)
[2] Y. Minami and H. Nakano, Rainbow Nambu-Goldstone Modes under a Shear Flow, Phys. Rev. Lett. 126, 141601 (2021)
[3] Y. Minami and H. Nakano, Origin of long-range order in a two-dimensional nonequilibrium system under laminar flows, arXiv:2212.06390

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(公開日: 2023年01月06日)