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カオスから秩序へ – 細胞内Ca2+光操作による機能創発

日程 : 2019年2月21日(木) 10:00 - 11:45 場所 : 物性研究所本館6階 第5セミナー室 (A615) 講師 : 八尾 寛 所属 : 東北大学・生命科学研究科 世話人 : 井上 圭一 (04-7136-3230 (ex. 63230))
e-mail: inoue@issp.u-tokyo.ac.jp
講演言語 : 日本語

骨格筋細胞においては、アクチン、ミオシンなどの収縮タンパク質や関連構造タンパク質が周期約2 µmの秩序だった構造(サルコメア)を構築していることにより、収縮機能が生み出される。サルコメア・アセンブリ(sarcomere assembly)は、生物系における自己組織化の典型であり、「活動」依存的であるとされてきた。たとえば、運動ニューロンが骨格筋に作るシナプスの活動がサルコメア・アセンブリを促進する。われわれは、「活動」の正体が筋細胞膜電位の周期的変動(膜電位振動)であるという仮説を光遺伝学的に検証した。すなわち、光駆動陽イオンチャネル(チャネルロドプシン)を細胞膜に発現させ、周期的に光照射することにより、サルコメア形成が促進されるとともに光照射に同期した収縮機能が創発することを報告した[1,2]。では、膜電位振動がいかにしてサルコメア・アセンブリを引き起こすのだろうか?細胞内Ca2+の時空間的振動が必要十分条件なのではないだろうか?(Ca2+仮説)
 そこで、細胞内小器官Ca2+ストアの小胞体(endoplasmic reticulum, ER)に着目し、Ca2+透過性チャネルロドプシンにER膜を標的とするシグナルを付加した誘導体(ChRGRER, CatCh+ER)を開発し、細胞内Ca2+ダイナミクスを光制御するシステムを構築した[3]。本システムを筋細胞に応用することにより、サルコメア・アセンブリのCa2+仮説の検証が展望される。

【参考文献】
1. Asano T, et al. Biotechnol Bioeng 109:199-204 (2012).
2. Asano T, et al. Sci Reports 5:8317 (2015).
3. Asano T, et al. Front Neurosci 12:561 (2018).


(公開日: 2019年01月08日)