大門 寛 (奈良先端科学技術大学院大学)
「二次元偏光光電子分光による電子・原子・磁気構造」グループでは、表面や固体の電子・原子・磁気構造を偏光を利用した二次元光電子分光の手法で解明することを目的として、ビームラインと測定系の検討を行っている。現在のメンバーは藤森淳(東大)、小森文夫(物性研)、木下豊彦(分子研)、曽田一雄(名大工)、服部賢(
奈良先端大)、今田真(阪大)、H.W.Yoem(東大)、奥田太一(理研)、中辻寛(物性研)の各氏となっているが、他にも関心のある方の積極的な参加を望んでいる。
エネルギー分解能が0.1%の高性能の二次元表示型球面鏡分析器を用いて研究を行うことが特徴である。(1)低エネルギー(10〜150eV)直線偏光、(2)中エネルギー(100〜1500eV)直線偏光、および(3)低エネルギー(10〜150eV)円偏光ビームラインに接続することで、それぞれ世界的に新しい成果が期待できる。すなわち、(1)では10meV程度の分解能での電子エネルギーバンドの二次元マッピングを行うとともに、バンドを構成している原子軌道を特定し、これまでに無い詳しさでバンドの性質を解明することができる。(2)では、二次元光電子回折やホログラフィーを用いて、表面の構造解析を行う。高輝度光源のエネルギー分解能の良さと分析器のエネルギー分解能の良さを利用して、100meV程度の分解能で化学状態を選別した原子の周りの立体的な構造解析を行う。(3)では、二次元のMCDADを行い、磁性電子状態を詳しく解明する。
一つのビームラインに限定してしまうと励起光が限定されてしまい研究範囲も限定されるので、上記3種のビームラインを他のグループ(表面グループなど)と共有して使用するようにして、3台の分析器を設置したいと考えている。直線偏光、円偏光共に、エネルギー分解能の良い実験を行うので、アンジュレータのビームラインが望ましい。
Wednesday,9,Dec,1998