フェルミオロジー計画の概要

   藤森  淳 (東大理)

    「フェルミオロジー」グループでは、固体物性研究用の高分解能角度分解光電子分光ビームラインの建設を計画し、検討を行っている。現在のメンバーは、高橋隆(東北大)、宮原恒あき、石井広義(都立大)、藤沢正美(物性研)、柿崎明人(物構研)、奥沢誠(群馬大)、生天目博文(広大)、曽田一雄(名大)、溝川貴司(東大)の各氏となっているが、他にも関心のある研究者に積極的に参加していただけることを望んでいる。

    性能の目標値は、1 meVに迫るエネルギー分解能(現状は、放射光で30 meV, 近い将来10meV弱、実験室では5 meV以下)、角度分解能+/-0.1度(現状は、通常の+/-1度から最高+/-0.3度まで)、4 Kまたはそれ以下の低温化(現状は 10 K以下)である。これらの高分解能を利用した実験は、固体物性研究・物質科学研究の各分野に大きなインパクトを与えることが期待される。たとえば、高温超伝導、巨大磁気抵抗の機構解明、金属-絶縁体転移(モット転移、アンダーソン局在)、メゾスコピック系物理など基礎物理学の研究などが挙げられる。これらの成果は、新物質・新物性・新材料の開拓、探索に貢献するものである。

    上記の目的のために、今後、直入射分光器(エネルギー範囲:< 40 eV)の検討をおこなって行く。また、試料ホルダー、マニュピレータなどの技術開発もおこなう必要がある。高輝度光源計画における高分解能光電子分光ビームラインとしては、高分解能で共鳴光電子分光を行うための、100〜200 eVのエネルギー領域をカバーするものも必要であると考えている。
 


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Wednesday,9,Dec,1998

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