研究会報告

    物性研短期研究会

       「高分解能光電子分光が拓く物性研究」

日時:6月30日(火)、7月1日(水)
場所;東京大学物性研究所Q棟講義室

プログラム

6月30日(火)
09:35-09:40 辛埴(物性研)「はじめに」

(座長:太田俊明)

09:40-10:00 塚田捷(東大理)「光学過程による表面研究の展望」
10:00-10:20 Han Woong Yeom(東大理)「高分解能内殻光電子分光による表面構造研究:現況と高輝度光源への期待」
10:20-10:40 河野省三(東北大科研)「光電子分光・回折による表面構造の研究」
10:40-11:00 前田文彦(NTT)「光電子分光による結晶成長表面のダイナミクス」

- 休憩(15分) -

(座長:小森文夫)

11:15-11:35 田中慎一郎(分子研)「電子・イオンコインシデンス分光によるシェイクアップ励起誘起イオン脱離の観測」
11:35-11:55 吉信淳(物性研)「吸着分子の化学結合とSTM像」
11:55-12:15 小川晋(日立)「フェムト秒時間分解光電子分光による表面研究」
12:15-12:35 柿崎明人(物構研)「スピン偏極光電子分光による表面磁性」

- 昼食(12:35-14:00) -

(座長: 木下豊彦)

2:00-2:20 田中章順(東北大理)「メゾスコピック系ナノ構造物質の光電子分光」
2:20-2:40 相浦義弘(電総研)「角度走査光電子分光によるBi超伝導体の電子状態の研究」
2:40-3:00 横谷尚睦(東北大理)「高温超伝導体における擬ギャップとフェルミ面」
3:00-3:20 遠山貴己(東北大金研)「高温超伝導体の角度分解光電子分光スペクトル:ドーピング依存性」
3:20-3:40 富田憲一(物構研)「強相関系での光電子擬ギャップと広い光学ギャップとの差」

- 休憩(15分) -

(座長:高橋隆)

3:55-4:15 永崎洋(東大工)「光電子分光を中心とした1次元銅酸化物の諸物性」
4:15-4:35 小林研介(東大理)「1次元モットハバード系の角度分解光電子分光」
4:35-4:55 井上公(電総研)「V酸化物:モット転移近傍におけるバンド幅の制御」
4:55-5:15 斎藤智彦(物構研)「CMRを示す層状Mn酸化物の角度分解光電子分光」
5:15-5:35 細野秀雄(東工大)「ワイドギャップ導電性酸化物の電子状態」

- 懇親会(6:00-8:00) -

7月1日(水)

(座長: 難波孝夫)

09:20-09:40 菅滋正(阪大基礎工)「Yb4X3系の高分解光電子分光」
09:40-10:00 組頭広志(東北大理)「f電子化合物のバンド構造とフェルミ面」
10:00-10:20 島田賢也(広大)「近藤半導体の高分解能極低温光電子分光」
10:20-10:40 今田真(阪大基礎工)「Ce化合物の4f電子状態への価電子帯構造の影響」
10:40-11:00 酒井治(東北大理)「光電スペクトルと磁気励起の同時解析」

- 休憩(15分) -


(座長:佐藤繁)

11:15-11:35 仲武昌史(広大理)「高分解能逆光電子分光装置」
11:35-11:55 金井要(物性研)「共鳴逆光電子分光による強相関物質の研究」
11:55-12:15 魚住孝幸(大阪府大)「Ce金属間化合物における共鳴逆光電子分光の理論」
12:15-12:35 木村真一(神戸大)「赤外放射光を用いたf電子系物質の光吸収」

- 昼食(12:35-14:00) -

高輝度光源計画と光電子分光(座長:小谷章雄)
2:00-2:30 神谷幸秀(物性研)「高輝度光原計画の概要」
2:30-2:50 辛埴(物性研)「高輝度光源計画の測定器系の概要」
2:50-3:10 藤森淳(東大理)「高輝度光源計画における高分解能光電子分光」

- 休憩(15分)-

3:25-3:45 大門寛(奈良先端大)「高輝度光源計画による表面研究」
3:45-4:05 尾嶋正治(東大工)「高輝度光源計画における顕微分光」
4:05-4:25 鎌田雅夫(分子研)「放射光とレーザーの組み合わせ実験:2光子励起と光脱離」

 本研究会は、6月30日(火)、7月1日(水)に東京大学物性研究所Q棟講義室において高橋隆(東北大理)、藤森淳(東大理)、菅滋正(阪大基礎工)、小谷章雄(東大物性研)、小森文夫(東大物性研)、辛埴(東大物性研、代表)が世話人となり開かれた。1998年3月6日、7日に尾嶋先生が主催されたシンポジウムが応用研究に重点をおいたものであるとすれば、これは、その基礎研究編と言うべきものである。基礎研究にも様々な実験手段があるが、今回は軟X線領域でほぼ独壇場とも言うべき、光電子分光に主眼をおいた。これは近年特に、高分解能化による発展が著しい分野である。

 参加者は130名に及び、物性研の短期研究会としては、異例の参加人数となった。特に初日は、会場に入りきらなかった人があふれて、非常に熱気にあふれた研究発表と議論が行われた。会場に入りきらず入場を諦めた人もいた。物性研究において、いかに高分解能光電子分光に対する関心が深いかを示している。

 プログラムは表面、酸化物系の強相関物質、f電子系の強相関物質、高輝度光源と光電子分光という4つのセッションがあった。表面においては塚田先生の非常に良くまとまった総括からはじまった。様々な発表を通じて、バラエティに富んだ表面実験方法の中で、いかに光電子分光が有効か良く理解できた。強相関物質はこの分野の特に中心的テーマであるが、高分解能化による新時代が始まったことが良く理解できた。最後の高輝度光源と光電子分光との関係は、高輝度光源を用いてこれからどのような研究が盛んになるかが明らかにされた。また、物性研の安岡所長も飛び入りで参加し、柏移転に伴う、高輝度光現計画の現状が熱心に議論された。

 6月30日の夜には75名以上の参加者を集めて、懇親会が開かれた。当日暑かったせいもあり、大量のビールが飲み干された。学生が2度も買い足しに走りまわる羽目になった。

 本研究会の報告書として、OHPのコピーとアブストラクトをまとめたものを出す予定です。希望者はVSX事務局まで、ご連絡くださればお送りいたします(無料)。最後に、本研究会の事務を行ってくれた宇野さん、原さんにお礼を申し上げます。

写真;大変盛り上がった懇親会の様子


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Thursday,20,August,1998

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