08 物性科学

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複雑物質発光分光

学術的意義・発展性

1. 偏光依存性や励起光依存性によるラマン散乱、蛍光分光を行い、これまでできなかったような物質の電子状態の研究を行う。DNAなどの生体物質、粉体、液体、電池の界面等、極めて重要であるがこれまでできなかった物質群の電子構造の研究ができるようになる。
2. 磁場等の極端条件での電子構造の実験ができる。発光MCDでは、選択側が吸収MCDと選択則が異なる。
3. 実験に超高真空が必要でないためにサンプルさえおけば誰でも簡単に電子構造の実験が行えるようになる。
4. 表面界面での化学的結合状態研究の有力な方法である。
5. 今後は、コヒーレンスを利用した発光分光が重要になる。

国際競争力

高輝度光を必要とする上に、高度な検知器技術等を必要とするので、これまで、軟X線発光実験を行ってきた国は少ない。米国、スウェーデンと並んで、日本は、軟X線発光分光の先進国の1つであり、十分な実績がある。

高輝度の必要性

サンプル上でのスポットサイズは数ミクロン以下、光強度も1012個/秒以上、分解能も1万以上必要である。軟X線実験のうち、最も高輝度を必要とする実験である。また、高輝度だけでなく、光のコヒーレンスを利用した実験が今後の重要な分野になるために長尺のアンジュレータが必要である。

技術的な実施可能性

高輝度光を十二分に利用する分光技術、光学素子技術、検知器技術、回路系、ソフトウエア等の最先端の技術が必要である。現在の稼働中の発光分光器を基に、新しい技術開発は常に行っている。また、新しいタイプの発光分光器等を開発する必要性もある。